JR東日本グループは、同社グループが目指す「モビリティ」と「生活ソリューション」の2軸による持続的成長をさらに加速させるため、新たな中長期ビジネス成長戦略「Beyond the Border」を策定した。
この成長戦略の基盤は、「Suicaの進化」による新たな「デジタルプラットフォーム」の構築となっており、Suicaを「移動のデバイス」から、様々な生活シーンにつながる「生活のデバイス」に進化させる「Suicaアプリ(仮称)」を創出し、Suica経済圏を拡大していくとのこと。
「Suicaの進化」を基盤としたデジタルプラットフォームの構築
新ビジネス戦略「Beyond the Border」では、これまで強みとしてきた同社グループのモビリティと生活ソリューションの双方にわたる「重層的でリアルなネットワーク」を、Suicaの進化による「移動の目的(地)づくり」と「DXによる個客との接点強化」を通じて、新たな強みにリデザインしていくもの。
これにより、現在のJR東日本グループの枠を大きく乗り越え(Beyond the Border)、ビジネス圏の飛躍的な拡大を目指すという。
今後のステップとしては、2027年度までにえきねっとやモバイルSuicaなどの各種ID統合とクラウド化を進め、駅ビルで一定額の買い物をしたユーザーの帰りの運賃割引の提供を可能にするなど、新たな鉄道チケットシステムの導入を進めるという。なお、2028年度には「Suicaアプリ(仮称)」をリリースし、生活シーンに対応したサービスを一括して提供する予定としている。
加えて、今後10年で「移動と一体のチケットサービス」「金融・決済」「生体認証」「マイナンバーカード連携」「健康」「学び」「物流」「行政・地域サービスとの連携」などといった新機能の順次追加も構想されているという。
データマーケティングによるビジネス圏の拡大
進化したSuicaに集まるビッグデータを活用し、JR東日本の強みであるモビリティの移動データを様々なリアル・デジタルのサービスと結び付け、ユーザーの趣味嗜好や健康状態に沿ったサービスや、情報を適切なタイミングで提供するOne to Oneのデジタルコミュニケーションを実現。これにより、マーケットインのビジネスを推進するとしている。
また、マーケットから得られるデータやニーズを進化したSuicaにフィードバックすることで次のマーケットインのビジネスに循環させながら、進化・活用を進めていく方針も立てているという。同ビジネスは、東京圏で成功を収めた後に海外展開し、アジア圏での公共交通指向型開発(TOD)への参画も目指す予定とのこと。
数値目標
今後10年で、現在のJRE POINT生活圏をさらに拡大させたリアル・デジタル双方にまたがる「Suica経済圏」を創出。2033年度までに生活ソリューションの営業収益・営業利益を2023年度比2倍にする計画を立てている。