ライオンとNTTデータは2024年6月から、ライオンの衣料用粉末洗剤の生産技術領域で国内熟練技術者(以下、熟練者)の暗黙知となっている技術や知識・ノウハウを、生成AIの活用により形式知化する取り組みを開始した。
同取り組みでは、衣料用粉末洗剤の製造プロセス開発で文章化されていない暗黙知を抽出し「勘所集」として文書化。生成AIを活用した検索サービス「知識伝承AIシステム」に取り込み、新たに衣料用粉末洗剤の製造プロセス開発を行うメンバーが熟練者の技術や知識・ノウハウを容易に検索・活用できるようにする。
ライオンは、同取り組みの推進で効率的な技術の継承を実現し、国内および海外拠点における技術力やグローバルECM(エンジニアリングチェーンマネジメント/製品の企画・開発・工業化検討の一連の流れのこと)などの強化につなげる考え。
NTTデータは、形式知化された情報と暗黙知化された情報を掛け合わせ、知識伝承および活用のユースケースを確立し、製造業界をはじめ労働力人口不足という社会的な課題解決に寄与するとしている。
取り組み概要
ライオンはこれまで、社内のデータベースにある形式知化された情報を、効率的に集めて提供する技術開発を進めてきた。また、生産技術領域では、熟練者の知識・技能を伝承するため、OJTやマニュアル・手順書を活用してきた。しかし、衣料用粉末洗剤の製造プロセスを開発する際、効率的に検討を進めたり、工場での生産時に原料の性状などを考慮した運転条件を設定したりするノウハウなど、暗黙知を伝承するのに時間を要していた。そこで、今回の取り組み開始に至った。
2社は、抽出対象となる暗黙知の範囲拡大を見据え、勘所集作成の効率化を図る。具体的には、NTTデータが持つ先進的な技術や知見を生かして、インタビュー結果をまとめる工程への生成AIの適用を検討。これにより、新たに衣料用粉末洗剤の製造プロセス開発業務にあたるメンバーは、勘所集が取り込まれた知識伝承AIシステムを参照して、熟練者から効率的に技術を継承できる。
ライオンは、既存文書の整備と熟練者の暗黙知の抽出によって、伝承するべき知識の形式知化を実現。さらに、暗黙知の抽出範囲の拡大、定期的な抽出および他製品への展開を進める。これにより、国内および海外拠点での技術力向上を図り、グローバルな競争力の強化につなげる。
NTTデータは、ライオンとの連携をさらに拡大・強化し、同社の事業の成功に向けた支援を継続する。今後は、形式知化された情報と暗黙知化された情報を掛け合わせ、知識伝承および活用のユースケースを確立する予定。暗黙知まで含めた知識抽出と生成AI活用を組み合わせたサービス提供を積極的に推進していく。なお、将来的には、よりセキュアで専門的な内容を取り込める生成AI、特にNTT版大規模言語モデル「tsuzumi」の活用も検討するとのこと。