セールスフォース・ジャパン(以下、Salesforce)は、企業が生成AIを活用するうえで求められる信頼性および柔軟性を高めるEinstein 1 StudioおよびSalesforce Data Cloud(以下、Data Cloud)の機能を日本市場で提供開始すると発表した。これらの機能により、ユーザー企業は自社のニーズに合わせて安全に生成AIを活用して、生産性や顧客体験の向上を実現することが可能となる。
Einstein 1 Studioは、Salesforceの管理者や開発者がEinsteinの体験をカスタマイズし、すべての顧客や従業員体験のためにあらゆるCRMアプリにAIをシームレスに組み込むためのローコードのツールセット。Einstein 1 Studioには、Copilot Builder、プロンプトビルダー(Prompt Buider)、モデルビルダー(Model Builder)が含まれており、今回、Salesforceが国内で提供を開始するEinstein 1 Studioの機能は、次のとおりとなっている。
Einstein 1 Studioの提供機能について
プロンプトビルダー(Prompt Builder):カスタムされた再利用可能なAIプロンプトを作成
管理者や開発者がノーコードでカスタムされた再利用可能なAIプロンプトを作成可能。CRMアプリおよびData Cloudに統合した顧客データなど、企業の信頼性の高いデータをプロンプトに容易に埋め込む(グラウンディング)ことができるため、企業データの価値を最大化し、より優れたAIコンテンツを生成できる。セールスやサービス、マーケティングなどの業務で適切な文脈を有する信頼性の高いプロンプトテンプレートを作成し、SalesforceのCRMアプリの業務フローに組み込んで活用することができる。
- 日本市場での提供時期:一般提供開始済
モデルビルダー(Model Builder):ユースケースに合わせて適切なLLMを選択
ビジネスを単一のLLMに制限するほかのソリューションとは異なり、さまざまなAIモデルに接続できる柔軟性を提供。Salesforceが標準で提供する大規模言語モデル(LLM)から選択することも、自社で使用するLLMを使用することも可能となっている。
また、モデルビルダーは予測AIモデルにも対応し、主要な外部のSalesforceパートナーの予測および生成AIモデルを、データを移動またはコピーすることなく、Data Cloud上で活用できる仕様に。加えて、企業がData Cloud上のデータを活用して、ローコードで独自の予測AIモデルを構築することもサポートしている。
- 日本市場での提供時期:一般提供開始済
Copilot Builder
あらゆる企業がEinstein Copilotを自社のビジネス向けに設定、カスタマイズできるようになる。
- 日本市場での提供時期:未定
Data Cloudの提供機能について
Data Cloudは、Salesforceに組み込まれたハイパースケールデータプラットフォームであり、企業はSalesforceのあらゆる製品およびシステムからすべての顧客データを接続、連携、調和できる。そのため、すべての顧客に関する信頼できる唯一の情報源となるという。
今回、Salesforceが国内で提供を開始するData Cloudの機能は、次のとおり。
データフェデレーション:Bring Your Own Lake
SnowflakeおよびGoogle CloudのBigQuery上のデータを、SalesforceのData Cloudに実データのコピー作業なし(ゼロETL)で連携し、データを統合可能に。複雑なETL処理なしで、主要なデータレイクおよびウェアハウス上のデータをData Cloudへ安全に共有。AIへの活用など、さまざまなユースケースにて活用できるようになる。
- 日本市場での提供時期:2024年3月中旬より一般提供を開始予定
Data Cloud ベクトルデータベースおよびEinstein Copilot Search
Data Cloud ベクトルデータベースにより、PDF、メール、会話記録などの非構造化データを含むあらゆるビジネスデータと、購入履歴、カスタマーサポートケース、製品在庫などの構造化データが統合され、生成AIのプロンプト上でグラウンディングして活用できるように。
Einstein Copilot Searchは、ユーザーのリクエストを受け取り、Data Cloud ベクトルデータベースに埋め込まれたデータに対して類似性検索を実行し、関連性が高く正確な回答を作成可能となる。この回答には出典資料の引用が明記される。
これらの機能を活用することで、SalesforceのPlatform上でRAG(Retrieval Augmented Generation)を容易に構成し、生成AIを信頼性の高いかたちで業務に活用することが可能になるという。
- 日本市場での提供時期:2024年3月中旬よりパイロット提供を開始予定