アメリカのセールスフォースは、CRMのための生成AIテクノロジー「Einstein GPT」を発表した。これにより、セールス、サービス、マーケティング、コマース、およびITインタラクションにおいて、AIが作成したコンテンツをハイパースケールで提供する。SalesforceはEinstein GPTによって、あらゆる顧客体験を生成AIで変革を目指す。
Einstein GPTは、Salesforce独自のAIモデルに、複数のパートナーの生成AI技術を組み合わせ、Salesforce Data Cloudからのリアルタイムデータとともに、企業のすべての顧客データを取り込み、ハーモナイズし、一元化。Einstein GPTにより、顧客は自社のデータをすぐに使えるOpenAIの高度なAIモデルに結びつけるか、独自の外部モデルを選択し、自然言語プロンプトを直接Salesforce CRM内で使用することで、変化する顧客情報と要件にリアルタイムで適応し続けるコンテンツを生成することができる。
たとえば、Einstein GPTにより、営業担当者は顧客にあわせ、パーソナライズしたEメールを作成したり、カスタマーサービス担当者は顧客の質問への具体的な回答をより迅速に作成することができるように。また、マーケティング担当者は、キャンペーンの反応率を向上させるターゲットを絞ったコンテンツを作成したり、開発者向けにコードを自動生成したりすることが可能になるという。
OpenAIとの統合
OpenAIのエンタープライズグレードのChatGPT技術をSalesforceのプライベートAIモデルに組み合わせることで、AIによって生成された関連性が深く信頼性の高いコンテンツを提供。
Salesforce Venturesによる2億5,000万ドルの「ジェネレーティブAIファンド」
また、同社のグローバル投資部門であるSalesforce Venturesが「ジェネレーティブAIファンド」を設立したことを発表。この新たな2億5,000万ドルのファンドは、将来性の高いスタートアップに投資することで、エコシステムを牽引し、信頼性の高い生成AIの責任ある開発を加速する。
より深く理解する: CRMにおけるEinstein GPT
Einstein GPTは、SalesforceのAI技術であるEinsteinの次世代版となる。Einsteinは、現在Customer 360全体で1日あたり2,000億件以上のAIによる予測を提供。独自のEinstein AIモデルをChatGPTや他の先進的な大規模言語モデルと組み合わせることで、顧客はCRMデータ上で自然言語プロンプトを使用することにより、パワフルな自働化で時間を節約し、パーソナライズされたAI生成コンテンツを作成することが可能となる。今回発表されたサービスは次のとおり。
Einstein GPT for Sales
Eメールの作成、会議のスケジュール設定、次の顧客対応の準備などの営業タスクを自動生成。
Einstein GPT for Service
過去の対応履歴からナレッジ記事を生成。パーソナライズされたエージェントチャットの返信を自動生成し、パーソナライズされた迅速なサービス応対を通じて顧客満足度を向上させる。
Einstein GPT for Marketing
パーソナライズされたコンテンツを動的に生成して、Eメール、モバイル、ウェブ、および広告などさまざまなチャネルで顧客や見込み客を惹きつける。
Einstein GPT for Salesforce’s Slack apps
販売機会の的確な要約や、ナレッジ記事の更新などエンドユーザーが取るべきアクションの提示を含む、AIを活用した顧客インサイトをSlackで提供。
Einstein GPT for Developers
Salesforce Researchが開発した独自の大規模言語モデルを活用し、AIチャットアシスタントを通じてApexなどのプログラミング言語のコード生成や質問を行うことで、開発者の生産性が向上する。
OpenAIが構築したChatGPT for Slack
さらに、SalesforceとOpenAIは、ChatGPT app for Slackを発表。同アプリケーションは、新しいAIを活用した会話の要約、あらゆる話題を学習するための調査ツール、メッセージをすばやく下書きするための支援機能を提供する。