エンタープライズ企業のデータ利活用を支援するフライウィールは、TSUTAYAの書店事業においてフライウィールが提供し、自動発注システムと連携している「Conata Demand Planner(コナタ デマンドプランナー)」の機能を段階的に拡張することを発表した。
「Conata Demand Planner」を連携させたAIによる自動発注システムでは、それぞれの店舗において商品別に将来の需要を予測して必要な発注をすることが可能。連携することによって、全体平均約35%あった返品率を改善すべく、売れ筋商品と店舗において在庫実績のある商品に対する発注分の売上をタイムリーに予測し、AIによる自動発注を実施した。
導入後、2022年7月から8月の実績値を評価したところ、発注内容と販売実績を評価する実売率(販売業へ出荷されたうち実際に売れた本の割合)が約20%改善し、予測精度を示すMAE(予測値と正解値の差)が約30%以上改善され、返品率の引き下げが大きく期待できる結果となったという。
さらに該当店舗において、過去に販売実績に無い商品も含めて、同システムで商品別に品揃えの最適化に対する取り組みも限定的に行った。その結果、今まで人が選定していた商品に比べて、実売率が大きく改善される結果となった。
これにより、来店客それぞれのニーズに合わせた店頭在庫をそろえることができるようになり、地域や顧客の特性に合わせた店舗作りも可能となるとのこと。
同システムでは、全国約800店舗におけるPOSデータに加えて、会員データや書誌タイトルのデータなどを組み合わせて店舗ごとにシミュレーション。シミュレーション結果によって適正な発注数や最適な品揃え在庫を算出し、店舗における発注システムへリアルタイムに連携される仕組みとなっている。
今回新たに拡張される機能は、店舗におけるすべての在庫についてもAIによる需要予測機能を拡張し、各店舗の売り場規模に応じた在庫の品揃えの最適化を実現。その結果、店舗が持つ全商品が最適化され、在庫管理や返品作業における人的リソースの削減が可能となり、さらなる収益性の改善が期待できる。
「Conata Demand Planner」は既存の自動発注システムへの連携も可能で、さらにPOSデータのみで開始できるため、今後は書店のみならずスーパーマーケットや調剤・ドラッグストアなどの小売業へ展開していく予定。さらに、小売店舗における運用コストや人的リソース面においても最適化し、フードロスや製品ロスを減らす「廃棄率削減」とそれにともなうコスト削減の取り組みに加え、昨今の人手不足に対する課題に対しても改善に向けて寄与し、小売業界全体の改革を推進していく考え。