TPCマーケティングリサーチは、東南アジアの化粧品市場について調査を実施し、その結果を発表した。同調査では、コロナ禍でも成長を続ける東南アジア6ヵ国の化粧品市場について、対象各国の化粧特性や、現地企業および欧米・日系企業など海外企業の参入動向と展開ブランド、売上高、今後の展望などについて多角的に分析を行った。
調査結果
2021年(2021年1〜12月)の東南アジア6ヶ国(タイ・インドネシア・マレーシア・ベトナム・シンガポール・ミャンマー)の化粧品市場は、前年比3.7%増の9,712億円で推移。同地域は、化粧習慣の浸透や可処分所得の増加などを背景に、直近10年で1.8倍以上に成長している。またインターネット・SNSの普及にくわえ、コロナ禍による外出制限が追い風となって、ECを中心とする通信販売チャネルが大きく伸長。コロナ前のライフスタイルに戻るなかでも、同チャネルを利用する消費者は増加するとみられることから、引き続き市場全体の成長に貢献するとみられる。
国別にみると、タイは前年比3.0%増の3,545億円で推移。美白や自然派訴求の化粧品ニーズが高いことや、比較的高齢化が進んでいることからアンチエイジング化粧品の需要が拡大傾向にある。またインドネシアは、前年比3.3%増の3,668億円で推移。世界最大のムスリム人口を擁する同国では、「Wardah」(Paragon)など現地ブランドのほか、「ガルニエ」(L'Oreal)や「カリサ」(ロート製薬)など海外ブランドもハラル化粧品を展開しており、市場全体の拡大に貢献している。
マレーシアは前年比5.5%増の980億円で推移。同国は国民の7割がムスリムであることから、インドネシアとともに世界最大規模のハラル化粧品市場を形成している。また近年は、ムスリムによるメイクアップ需要が拡大しており、ヒジャブとマッチしたメイクアップアイテムの紹介や、メイクの方法を紹介するムスリム系インフルエンサーが増加していることから、今後はさらなる市場の拡大が期待される。このほか、ベトナムは前年比9.0%増の640億円で推移。同国は、韓流コンテンツの影響でおしゃれへの意識が高まっているほか、周辺国と比較してもECチャネルが急速に拡大しており、市場全体の売上をけん引している。
シンガポールは前年比3.3%増の593億円で推移。近年、メイクアップを行う女性が増加しており、美白効果を備えたベースメイクなどに人気が集まっている。またミャンマーは前年比0.7%増の286億円と微増推移。市場の潜在性は高いものの、軍事クーデターの影響で国内に混乱が生じていることから、化粧品市場も停滞している。
調査概要
- 調査対象:東南アジアの化粧品市場
- 調査対象国:タイ・インドネシア・マレーシア・ベトナム・シンガポール・ミャンマー
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調査対象商品:
・スキンケア…クレンジング、洗顔料、化粧水、乳液、美容液、クリーム、日焼け止めなど
・ケア…シャンプー、リンス、コンディショナー・トリートメント、スタイリング剤、ヘアカラー剤など
・ボディケア…ボディソープ、ローション、ミルク、クリームなど
・メイクアップ…ベースメイク、リップメイク、アイメイク、チーク、フェイスカラーなど - 調査対象企業:大別して現地企業、欧米系企業、日系企業、韓国・中国系企業の4つ
- 調査実査日:2021年11月~2022年6月