矢野経済研究所は、国内の冷凍パン生地、冷凍パン市場を調査し、セグメント別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
市場概況
2020年度の冷凍パン生地・冷凍パン市場(事業者売上高ベース)は、前年度比89.4%の1,630億7,700万円と大きく減少した。
冷凍パン生地、冷凍パンの市場を概観すると、2019年末までは新たな需要分野への拡大で、より加工度の高い製品への需要シフトが進み、カフェチェーンやレストラン、ブライダル(披露宴)、カラオケ、テーマパーク等、ホイロ(発酵機)を持たない施設や店舗での冷凍パンの需要拡大が市場を牽引したが、2020年春先に発生したコロナ禍で市場トレンドは大きく変化した。
冷凍パン(半焼成冷凍、焼成後冷凍(製品冷凍))の動向
半焼成冷凍パンと焼成後冷凍パンは、いずれも利便性を強みとして販売チャネルを拡大すると共に、急速に市場浸透した。かつては輸入品が中心であったが、現在は国内メーカーが本格参戦している。
2020年度における冷凍パン(半焼成冷凍、焼成後冷凍(製品冷凍))の市場規模は、前年度比88.2%の263億2,600万円となった。コロナ禍の拡大で、市場を牽引した需要分野が低迷し市場も縮小した。
将来展望
2021年度の冷凍パン生地・冷凍パン市場規模は、前年度比103.3%の1,684億8,600万円の見込で、内訳は冷凍パン生地が同103.9%の1,421億5,000万円、冷凍パンは同100.0%の263億3,600万円になると予測する。2021年度はコロナ禍で縮小した市場がやや回復する見通しである。
コロナ禍の反動を除き、2022年度以降は年率3%程度で市場拡大し、2025年度の同市場は1,944億9,000万円の市場規模になると予測する。パン市場全体が横這いで推移する中、冷凍パン生地・冷凍パン市場は、より利便性が高くホテルや外食産業など業務用に強い冷凍パン(半焼成冷凍と焼成後冷凍(製品冷凍))が市場を牽引する見込みである。
調査概要
- 調査期間: 2021年7月~9月
- 調査対象: 国内メーカー、輸入商社等
- 調査方法: 同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話等によるヒアリング調査、ならびに文献調査併用