“つなぐ”ことで生まれる新しい価値 いま改めてオムニチャネル化を
データフィード関連のサービスを中心に事業を展開する株式会社フィードフォース。ソーシャルログインサービスを提供するグループ企業の株式会社ソーシャルPLUSを含め、デジタルマーケティングの分野に強みを持つ。そんなフィードフォースが2021年4月、リアル店舗に向けた新サービスとして「Shopify」とクラウドPOS「スマレジ」間の顧客データを連携・一元化するアプリ「Omni Hub」の提供を開始した。
いま改めてオムニチャネルに着目しているという同社だが、Omni Hubによるリアル店舗とECの連携で、実際にどのようなことが実現できると考えているのだろうか。同サービスのビジネス活動全般を担当する井形さんはまず、Omni Hubの開発背景を次のように話す。
「以前の記事で塚田がお話をさせていただいたように、当社では『何かと何かをつなぐことで新しい価値が生まれる』と考えています。リアル店舗とECをつなぎ、顧客にシームレスな購買体験を届けるというオムニチャネルの概念はそれほど新しいものではありませんが、コロナ禍でEC市場が拡大し、リアル店舗のありかたが見直されている中で改めて注目を集めています。当社は、いまこれを実現することは『新しい価値』を生むと考え、Omni Hubの開発・提供を開始しました」
オムニチャネルの概念は10年ほど前から存在していたものの、コストや管理体制などの問題もあり、リアル店舗とECの顧客データ連携を実際に行うことは簡単ではない。
「従来、リアル店舗とECの顧客データ連携はコスト面での負担が大きかったことや、企業内での管理部署が異なるなどの理由から、これに着手する企業は多くありませんでした。また、リアル店舗を中心に事業を展開する企業では、そもそもECへの関心度が低く、顧客データを連携させる具体的なメリットを感じにくかったことも理由のひとつです」
フィードフォースは過去、データフィード事業において企業の集客を支援するサービスを行う上で、リアル店舗のPOSデータを活用する取り組みに着手していた。同社はこの取り組みを実現するために、POS関連の企業に対して数年間に渡りアプローチを行ってきたが、外部との協業に積極的な企業は多くなかったと井形さんは言う。
「これまで企業が求める機能は、プラットフォームが自社で開発することが当然と思われてきました。しかし、さまざまな販売形態の登場やテクノロジーの進化を背景に、企業のニーズが多様化。この傾向はコロナ禍にでいっそう加速しています。今後は従来の個別開発ではなく、プラットフォーム同士が協力体制を築くことが重要となる中、Shopifyやスマレジは、『アプリを通じサードパーティーと連携して機能拡張を目指す』という方針を採っています。また、スマレジはリアル店舗の中でも小売業者での利用が多いこともあり、リアル店舗とECをスムーズに連携するようなアプリの提供がとくに求められていました。こうした背景の中、リアル店舗とECを安価かつ開発なく連携させるという部分で当社の強みを活かせると考え、Omni Hubの提供に至りました」