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2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

ECホットトピックス

ECシステムが「柔軟」であることは顧客体験向上につながるのか ヘッドレスコマースの現在と未来


 「ヘッドレスコマース」というワードが注目を集めていますが、マーケティング的解釈が強く、実態が正しく伝わっていないのではと危惧しています。別途フロントサイトを作りやすいのはメリットですが、デメリットももちろんあります。そして、本当に重要なのはヘッドレスコマースの得意不得意を知ること、その基礎となるECシステムAPIをよく理解・活用して、EC業務を改善し続けていくことです。本稿では、2021年におけるヘッドレスコマースの現状をフラットな視点で伝えます。

「ヘッドレスコマース」がEC業界の最注目ワードのひとつに

 最近話題になることが多い「ヘッドレスコマース」。そもそもヘッドレスコマースは、Amazonが採用していると言われるシステムアーキテクチャで、フロントとAPIを分割してECサイトを構築する方法です。

 ヘッドレスコマース関連のビジネスを営むベンチャーの資金調達も増えています。ここでは、StoreFrontとSWELLの2社を紹介します。

Vue StoreFront

 Yコンビネーターの出資を受けるVue StoreFrontは、ShopifyやMagento、BIGCOMMERCEといった既存ECシステムのAPIと通信してECサイトのフロントを作る、vue.jsのフレームワークを提供しています。このフレームワークは、現状はオープンソースとして開発されています。

SWELL

 SWELLは柔軟性があるAPI提供をうたっています。機能表ページ下部を見ると、SWELLとShopify Plus、Magento、BIGCOMMERCEそれぞれにおける、API機能や仕様の違いについて触れています。他社製品と連携して柔軟なフロント画面を提供することに注力しているVue StoreFrontと違い、APIそのものに注力しているのがわかります。 

 このように同じくヘッドレスコマースと呼ばれるセグメントのベンダーでも、フロント部分に注力したり、より高機能なAPI提供を目指したり、得手不得手があることがわかります。

 2021年度時点でヘッドレスコマースはいまだ黎明期であり、各社注力している部分が異なるため、ひとくくりにするには難しいところがあります。安易に製品を選択せず、自らの事業にあった選択が必要です。

 今回は、このヘッドレスコマースの2021年時点での最新情報と、どういった点に注意して取り組むべきなのかを紹介していきたいと思います。

そもそもヘッドレスコマースとは

 ヘッドレスコマースとはECサイトを構築する手法で、バックエンドを中心に機能をAPI化し、フロントエンド(HTMLやJSフレームワークを多用)はAPIを呼び出す形で実装するという具合に、フロントエンドとバックエンドを別々のシステムアーキテクチャとする手法を指します。

 フロント(ヘッド)がなく、機能を提供するAPIがあるという(ヘッドレス)が起源となっていますが、ヘッドレスコマースのセグメントに入る製品でも、フロント機能とAPIの両方を持っているケースが大半です。

ヘッドレスコマースとは

もっとも重要なのはECシステムのAPI化

 ヘッドレスコマースの重要かつ必須条件は、ECシステムのAPI機能提供です。ECシステムのAPI化は、この数年、世界的に注目を浴びる分野であるとともに、ECシステムのフロント画面構築や外部システム連携をもっと自由にしたいというEC事業側のニーズもあって、ヘッドレスコマースという形で脚光を浴びています。

 上の図にあるように、古いアーキテクチャのECサイト構成はUIと機能ロジックが一体となっていましたが、ヘッドレスコマースではUIと機能ロジックが分離されています。機能はAPIを通して利用することができます。

 ヘッドレスコマースとして提供されているAPIには、一般的に次のようなものがあります。

  • カート情報(商品、支払い方法、配送先、特典、計算)の取得や設定
  • 会員(会員情報、パスワード)の取得や設定 

 このような特性を持つヘッドレスコマースには、どんなメリット/デメリットがあるのでしょうか。

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この記事の著者

株式会社Commerble CEO 橋本圭一(ハシモト ケイイチ)

「改善を続ける自社ECの世界」が世のEC事業者に浸透するように、継続的な改善に重きを置いたクラウドECプラットフォームCommerbleを提供している。自社ECのビジネス背景に合わせて、個別に継続改善を実現することの有用性を信じている。クラウド技術を駆使、テクノロジーとうまく付き合うことによって、EC業界に...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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