人間は間違いをする生き物 他者の確認でミスをすくい上げよう
前回の記事では、在庫引当を経て注文が入った際に行う「伝票発行」と「ピッキング」の勘どころをお伝えしました。今回は、次の図の緑色の部分「検品・梱包」と出荷のフローで押さえておきたいポイントを解説します。
当連載を読んでいる方の中には、「検品」という言葉が2回めの登場であることに気づいた方もいるのではないでしょうか。図にもあるように、物流現場では入荷時にも検品作業が行われています(おさらいしたい方は、連載の第1回をご覧ください)。
しかし、入荷時の検品作業は入荷予定の品物と数量が合致しているかを確認するもの。今回ご紹介する「検品・梱包」のフローで行われる「検品」は、顧客が注文した商品をピッキングした後、注文内容とピッキング商品に相違がないかを確認する作業となります。ピッキングのフローを整備し、間違いを防ぐことも大切ですが、人が作業する以上、どんなに気をつけていても間違いを完全になくすことは困難です。そのため、梱包前にきちんと検品するフローを整えることも欠かせません。
今回は、WMS未導入のケースを想定して解説します。WMSを導入すれば、誤ピッキングやピッキング点数不足時に端末からアラートを出すことができるため、比較的容易に間違いを減らすことが可能です。しかし、導入にはコストがかかりますので、ブランド立ち上げ当初や事業規模が小さい企業の場合は、WMSを使わずに注文リストをCSV出力し、目視でピッキングしているケースが多いと思います。そのため、「間違いは当然起こり得る」という認識で、検品作業のフローを確立することが大切です。
検品で間違いを見つけるコツは、
- ふたりで確認する
- 人間の発想と逆のフローで確認する
のふたつにあります。人間の特性として、ピッキングした人は「自分は正しい商品・点数をピッキングした」と思いがちです。実際に、9割がたは正しいのでしょう。しかし、日々現場で働く人にとっては何十件、何百件とある注文のうちたった1件の間違いでも、顧客からすれば「自分の注文が間違っていた」と、企業・ブランドの印象を阻害する大きな要因になってしまいます。そのため、先入観を取り除いてチェックし、間違いがなければ互いを労う、間違いを見つけた場合は「顧客に届ける前に気づくことができてよかった。ありがとう」と感謝し合える体制を構築しましょう。