ガラケーに遡る! ページ分離構成が選択されたワケ
多くのEC事業者が、前回紹介した「ページ分離構成(デバイスごとに別々のページを作成し、リダイレクトをする方法)」でマルチスクリーンへの対応を実施しています。なぜこのような構成が主流になっているのでしょうか。
モバイル=ガラケーが中心だった時代のモバイルECサイトでは、キャリア公式サイト以外(勝手サイト)ではアクセス数を稼ぐことが難しく、また商品も売れないため、PCサイトの情報の一部を簡易的にモバイルに向けて変換し、一応買えるというような対応をしていました。
その後、ガラケーでの検索ユーザーの増加やスマートフォンの登場で、モバイル端末でのECサイト利用者が急増しました。
この状況に対応するため、一部のECサイトは、簡易的なモバイルサイトからスマートフォンを中心の充実したモバイルECサイトへシフトしました。その際、PCとは別のHTMLでモバイルサイトを構築したのです。
確かに、デバイスごとに最適なページを作る「ページ分離構成」のほうが、各デバイスのUIは優れたものになり、結果的に高いCVR(コンバージョン率)を獲得できるように思えます。しかしモバイル化/マルチスクリーン化が加速する中で徐々に分離構成に陰りが見えてきました。
リダイレクトでミス多発! ページ分離構成の限界
その要因の1つが、スマートデバイスのUX向上の限界です。スマートデバイスのUXを考える場合、デバイスごとのページ最適化とクロスデバイス利用への対応が重要になります。
デバイスごとのページ最適化に対して、多くのECサイトが抱える問題点には以下のようなものが挙げられます。
- 末端のページまでスマホ向けのページを作成できていない
- 適正なリダイレクトができていない
末端のページまで各デバイス専用のページが作成できていない場合、例えばスマートフォンでアクセスした際にスマートフォン向けに買いやすく、情報量が充実した体験ができないためにユーザーはストレスを感じ、UXは低下してしまいます。
なぜこのような問題が発生するのでしょうか? 原因は、「リソース不足」「そもそもモバイルデバイスへの意識が低い」「末端のページまで作成したいが、システム的な問題でできない」などがあげられます。しかし最大の原因は、「デバイスごとに別々のHTMLを構成しなければいけない」という構成に関する点です。
適正なリダイレクトができていない場合、スマートフォンであるページにアクセスした時に、ユーザーの意図に反するページへ誘導されます。すると、元来、ページ遷移というアクションが面倒なモバイルデバイスでは、目的ページを探すことも大変になりUXが低下します。
これらの原因はリダイレクト設定ミスなどのヒューマンエラーが多いのですが、そもそもページ数が大量であるためで、リダイレクト対応が複雑になり管理しきれなくなっていることが考えられます。