中国への越境ECは手間がかかる……なら、台湾はどうですか?
2016年は、巨大な市場であることへの期待から、中国への越境EC参入が目立ちました。しかし、税制や物流モデルの不安定さ、販促コストの大きさなどの理由から、「中長期視点」で時間とコストをかけて開拓する市場であることがわかってきました。本格的に参入しようとする企業ほど、障壁が高いと感じるようです。
そうした理由から、同じアジアでも、親日度の高さや市場の安定性から「台湾EC市場」を開拓する動きが活発になってきています。
台湾には、大手コンビニのファミリーマートが3,000店舗、ユニクロも60店舗以上出店するなど、実店舗が先行しているイメージがあります。しかし、台湾の人口は2,300万人と、日本の5分の1程度ですが、2016年の台湾BtoCのEC市場は約2兆5,000億円(日本円換算)と、日本の4分の1。さらにEC成長率は15%程度です。ECの市場としては、日本より活気があると言っていいでしょう。
そんな魅力的な台湾市場ですが、越境ECに取り組むとなると、やはり気になるのは「決済」と「物流」です。内訳を見ると、商品到着時に支払う「代引き」がおおよそ30%、コンビニの店頭で商品を引き取り時に支払う「コンビニ引き取り払い」が25%、コンビニで支払った後に自宅に配送される「コンビニ支払い後自宅配送」が25%、この3つでおおよそ8割を占めます。一方で、商品を受け取る前に支払う「クレジットカード支払い」は3%。世界一コンビニが密集している、台湾市場ならではの特徴と言えます。
こうした台湾EC市場に、今、積極的に参入しているのが、日本の美容・健康食品系の企業です。台湾の薬事申請や商標登録をクリアし、自社ECサイトで、日本流の「単品型リピートモデル(定期購入モデル)」を展開しています。
主な集客手段は「Facebook広告」です。台湾はモバイルEC比率が高く、Facebook利用率も人口の70%ほどです。日本より商品価格を10%以上高く設定したとしても、1件の獲得単価が日本の4分の1ほどのケースもあり、効率的に獲得できています。
前月比2倍ペースで急速に売上を伸ばしている企業もあることから、単品通販で有名な企業を中心に、2017年も参入が続きそうです。