ショップリスト運営のクルーズは、なぜゲーム事業を売却したのか
クルーズの設立は2001年。Eコマース事業のスタートは2008年である。ソーシャルゲームの開始は、それから2年後の2010年のことだが、同社の場合、ゲーム事業を中心に成長してきたと言っていいだろう。15年度の売上高は277億円。11年度の89億円からは、3倍を超える伸びである。
その間、売上高営業利益率は10%弱~20%で推移。無借金経営も維持しており、過去からの利益の蓄積を示す利益剰余金も77億円まで伸長。健全な財務体質も、同社の特徴のひとつである。
そのクルーズは10月、ゲーム事業を手がける子会社をマイネット(3928)に売却すると発表した。それにともない、『NARUTO』や『ファイナルファンタジー』など人気版権もの16タイトルが移動。ゲームはオリジナルの『エレメンタルストーリー』を残すのみになる。
クルーズはネットゲーム事業と、ファストファッション通販の「SHOPLIST.com by CROOZ」(以下、ショップリスト)を二本柱として売上高を伸ばしてきたが、今後はショップリストを中心としたEコマース事業に経営資源を集中し、企業の継続と成長を目指すわけだ。
確かに、同社のEコマース事業の売上高は、11年度以降15億円、24億円、64億円、97億円、145億円と拡大基調である。その結果、グループ全体の売上高に占めるEコマース事業の割合は、11年度は17%にすぎなかったが、15年度にはじめてゲーム事業を逆転し、52%を占めるようになった。16年度中間決算では、その比重を58%までに高めている。