デジタルシフトはトップダウンでないと難しい?
西井(シンクロ兼オイシックス、以下シンクロ) 「デジタルシフト」と聞くと今更ながらのテーマだと感じる方も多いと思いますが、反面、まだまだ多くの企業がうまく移行できず困っているという話をよく聞きます。オフラインで成功すると、なかなかデジタルにシフトしにくいかと思います。両社がデジタルシフトを進めることになった、きっかけは何だったんですか?
藤原(アクティブ) 以前在籍していた、プロアクティブを販売しているガシー・レンカー・ジャパンの話をすると、2012年から2014年にかけて、電話からのCPO(注文獲得単価)がすごい勢いで上がっていったんです。一番の理由は競合の出現でしたが、我々もターゲットを見据えた戦い方ができていませんでした。
プロアクティブのターゲットとなるユーザーの大半は、若い女性です。当時、時期的にも、テレビCMを見てスマホで検索して購入するという流れが一般化してきていましたし、本社のあるアメリカでは、オンラインでの受注が増加していました。そこで、ターゲットを見据えつつ、テレビCMのコストを回収するためにも、デジタルシフトを進めることになりました。
西井(シンクロ) オフラインの数値が悪化していたことと、アメリカでのオンライン施策が成功していたことによって、会社として動かなければならないという危機感があったということですね。当時は、デジタルでどのような施策を行っていたんですか。
藤原(アクティブ) リスティング広告、リターゲティング広告、ディスプレイ広告……。あとはYahoo! JAPANのトップにバナー広告を出稿していましたね。私が入社後にまず行ったのは、そちらの広告の見直しと、リスティング広告の整理です。
西井(シンクロ) 川上さんはいかがでしょうか。
川上(JIMOS) 当社は化粧品を販売しているのですが、テレビCMや折込チラシの効果は、ずっと悪くありませんでした。ただし、オフライン広告から獲得できるユーザーの大半は50代以上であり、40代の方にアプローチすることがだんだん難しくなってきました。また、ARPU(1契約あたりの売上)で考えると、40代の方へのアプローチは外せませんので、デジタルシフトを進めることになりました。
西井(シンクロ) デジタルシフトを進めることになった時、社内の雰囲気はいかがでしたか?
藤原(アクティブ) ガシー・レンカー・ジャパンは本社がアメリカにあり、そちらがデジタルシフトを進めていたのでスムーズでした。
川上(JIMOS) 当社の場合もトップダウンです。2010年にトップが変わり、そこから一気に雰囲気が変わりました。
西井(シンクロ) やはりトップダウンでないと、動きづらいのかもしれませんね
藤原(アクティブ) 社内を動かすのであれば、目に見える数字を客観的に見せる必要があると思います。ただ「デジタルがいい」と言うのではなく、仮説でもいいのでストーリー性をもって発言すべきです。その部分ができていないと、難しいかもしれません。
川上(JIMOS) 当社の場合だと、「50代の方もネットを使っている」「電話をかける前にホームページをチェックしている」というお客様のインタビュー動画を社員に見せた際は、効果がありましたね。デジタルシフトが進んでいるとはいっても、社内の8割がオフライン担当ですから。