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ECzine Day 2024 June

2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

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書籍せどりで失敗、そこから輸入販売を成功させブランドを立ち上げた小笠原満さんが語るAmazon販売

 個人でも企業でも、ネット販売を行ううえでAmazonは重要なプラットフォームです。翔泳社では10月19日に『プラス月5万円で暮らしを楽にする超かんたんAmazon販売』を刊行、特に個人で始めたい方にとって不可欠なノウハウを紹介しました。今回は、著者の小笠原満さんにAmazonを利用するに至った理由をうかがいます。書籍のせどりから始めたという小笠原さんが培ってきたノウハウは、EC企業でも役立つのではないでしょうか。

ネット販売初心者が利益を生み出せるニッチを見つける

――『プラス月5万円で暮らしを楽にする超かんたんAmazon販売』は、企業・事業者による利用がまだ一般的ではなかったから頃から蓄積されてきた小笠原さんのAmazon販売ノウハウが詰め込まれた1冊です。

 小笠原さんは現在、タオバオさくら代行(合同会社万和通)で中国ショッピングサイトのタオバオからの購入代行サービスを行いながら、スポーツアパレルブランドのメーカーとしてもビジネスをされています。いまやAmazonは欠かせない存在だと思いますが、ネット販売を始められたきっかけから教えていただけますか?

小笠原:以前は別のインターネット事業を行っていました。ですが、景気の波があってうまくいかなくなり、事務所を借りているしスタッフもいるので、他の事業を立ち上げなくてはならなくなったんです。いろいろと探している中で知ったのがネットせどりです。目をつけたのは、古本屋で仕入れた書籍をネットで販売するビジネスでした。

 試験的にやってみようと古本屋に出向いたところ、住んでいた地域には先駆者の縄張りが張り巡らされていて、ぽっと出の初心者が利益を生み出せる状況ではないことに気がつきました。こちらはISBNを打ち込んで商品の確認をしている横で、いわゆるせどらーの方はバーコードを読み取ってすばやくチェックしていましたからね。

 これはダメだ、ということで、今度は欧米輸入に手をつけました。eBayで仕入れてヤフオク!で販売する、もしくはその逆です。こちらはブランド商品をうまく売ることができ、利益を上げられるようになりました。2011年の原発事故のあとには、ウクライナからガイガーカウンターを仕入れたこともあります。

 輸入販売はけっこう儲かるな、と手応えを感じたのがこのときです。ただ、仕入れまで1ヶ月以上かかるので、効率を上げるために、日本に近い中国に狙いをつけたんです。

――その頃はまだAmazonを利用されてはいなかったのでしょうか。

小笠原:多少利用はしていましたが、販売業というほどではありませんでした。メインはヤフオク!、モバオク、楽天オークションです。Amazonは中国輸入を始めてからですね。

小笠原満さん
小笠原満さん:合同会社万和通 代表社員

どんな商品でも自分で使用感を確かめたほうがいい

――中国輸入を始められたのは、具体的にはどういう理由なのでしょうか。

小笠原:タオバオという中国のショッピングサイトを知り、いけそうだと思ったからです。当時は、今ほど中国輸入をしている人が少なかったのもポイントでした。やはり怪しい、怖いというイメージがあったからでしょう。

 ところが実際には、タオバオを利用するようになってからは出品すれば売れるという状況になりました。同じような商品を輸入している人が少なかったからだと思います。あったとしても、日本のものだと値段が高かったんですよ。

 例えば、ネコ用の爪キャップが飛ぶように売れました。日本では20枚で1,000円以上するものが、タオバオだと数円で買えたんです。原価はほぼかかっていなかったと言っても言いすぎではないと思います。他にもスピーカーの円盤部分など、純正品ではなく互換性のある安い商品も好評でした。

――ネコ用の爪キャップが売れると感じたのは、何が理由だったのでしょうか。

小笠原:もともと自分でもネコを飼っていて、日本製の商品を購入していたんです。ですが、正直ちょっと高いな……と思い、安く手に入れたくてタオバオで探しました。そもそも自分で使うためですが、ほしい人がいるなら売ればいいと、それくらいの気持ちで売り始めました。売れ残っても損はありませんから(笑)。

 本来ならどんな商品にしても、自分で使用してみるのがいいですね。そうしないと、いいものかどうかなかなか分かりません。試さずに売ってしまって失敗したこともあります。僕は特に実用品を仕入れていましたが、それは使用感を確かめられるのと、いつでも売れることが大きなメリットなんです。

――そうした商品を仕入れるための目利きはどうされているのですか?

小笠原:条件によっても異なりますが、欧米輸入であれば単純な価格差で決めることがほとんどです。国内の相場はオークファンで調べて、欧米の相場はeBayで調べますね。あと、玩具のような商品は国内外で品質に差がないものが多いので、基本的に安いほうが売れます。ですから、価格差で利益が出るかどうかだけを考えます。

 中国輸入であれば、今は自分で現地に行って品質を確かめています。品質がよければ、たとえ安くない中国製品でも売れるんですよ。実は、お客様はあまり日本製だとか中国製だとかを気にしていません。中国製に悪いイメージを持つ人もいるかもしれませんが、それは一部のメーカーが素材をケチっているせいです。中国製でも素材にお金をかけている商品は日本製に劣らず品質が高いですよ。

 実店舗で購入するときなら特に、中国製かどうかはあまり気にしませんよね。それは自分で手に取って品質を確認できるからです。中国製だから買わない、とはならないでしょう。

――中国から直接参戦する人が増えていると聞きます。

小笠原:最近ではAmazon.co.jpでも中国からのセラーが増えており、価格面では中国人セラーとはなかなか勝負しづらい環境になっていることは否めません。ですが、日本人のお客様を相手に商売をするのに重要なのは、価格に限ったことではないと思ったほうがよいです。

 Amazonで買い物をするお客様は値段の安さだけを求めているわけではありません。Amazonがエスクローをしてくれるということで、商品と同時に安心感も買っているわけです。

 たとえ価格競争になったとしても、日本では信用を大事にして商売を続けていけば、お客様から選んで買ってもらえるセラーになれます。つまり日本人相手の商売では、ネットであっても信用は大きな付加価値だということです。

FBAで作業が効率化、ほったらしでも売れるようになった

――小笠原さんがAmazonに目をつけられたのはなぜなのでしょうか。

小笠原:かつてはヤフオク!をメインにしていましたが、どうしてもお客様の層が限られ、売上にも上限が見えてしまいます。そこでAmazon販売を始めました。当時は中国輸入をしている人がほとんどいませんでした。しかし、出品してみたらむしろヤフオク!よりも高値で売れることが分かったんです。そこから本格的に利用するようになりました。

 もう一つ、大きなメリットが作業の効率化です。ヤフオク!は手を動かす作業がかなり多く、1日の取引が数件ならまだしも、数十件数百件になると大変です。その当時は、取引が多い日は朝から15時まで入金確認、15時から集荷の18時まで発送作業です。そして夜にかけて出品準備。時間との勝負ですから、朝から晩まで働きっぱなしです。

 ところが、Amazonにはこうした作業を代理でやってくれるFBA(フルフィルメント by Amazon)があります。商品を納品すれば、Amazonが持つ物流システムで配送してくれますし、代金回収までやってくれます。ほったらかしでいいので、このインタビューの最中にも商品が売れていっています。

インタビュー風景

メーカーとしてビジネスすることを大きな目標に

――本書では個人販売よりも規模が大きなビジネスとして代理店になることが紹介されていますが、これが一つ大きな目標になるということでしょうか。

小笠原:代理店をやっていても成功している人ばかりではありませんから、一概には言えません。もちろん次のステップとして代理店はありえます。僕も代理店をはじめました。ですが、そのあとスポーツアパレルブランドを立ち上げたんです。それは、メーカーになるのが一番だと思ったからですね。やはり自分の商品を自分で作って売るのが究極の形でしょう。

 メーカーになる利点は、自分で卸すことができ、他社とタイアップすることもできるところです。あるいは、ギフトショーなどに出展して海外の代理店と契約できる可能性もあります。要するに、いろんな可能性が広がるんですよ。

――小笠原さんはネット販売を始めた当初からメーカーになることを考えられていたんですか?

小笠原:まったく考えていませんでした。とはいえ、物販を突き詰めていくと、流通の仕組みの中でどこが一番おいしいのかは考えます。メーカー、問屋、小売店とありますが、問屋も小売も薄利でやっています。そうなると、メーカーがいいということになります。

 メーカーになるのは難しそうに思えるかもしれませんが、今はそこまでハードルが高くありません。僕のように中国の工場で商品を製造することも可能です。交渉ごとは多少苦労しますが、通訳をつければあまり問題ではありません。

Amazonで売上を増やすためのノウハウをまとめた1冊

――書籍のネットせどりを除けば、非常に順調にビジネスが成長していらっしゃいますが、これまで商品のプロモーションはされてきたのでしょうか。

小笠原:Amazon内でのプロモーションやAmazonスポンサープロダクト(出品中の商品をAmazon.co.jp内に広告掲載できるサービス)はやっていますが、それ以外で広告を打ったことはありません。そこまでしなくても売れているのが現状です。

 もし仮に売れなくなったとしても、Amazon外でプロモーションするよりAmazon内のSEO対策などをしたほうがいいんですよ。当然、SNSからお客様を呼び込む手法は有効になってきましたから、これから検証が必要だとは思っています。

――Amazon内でのSEO対策はどういったところがポイントですか?

小笠原キーワードの選び方ですね。それと、お客様にとってどれくらい役に立つ商品かをしっかり伝えることです。カスタマーレビュー、購買率、ユニットセッション率などで可視化されますから、ページ内に改善余地が見つかるでしょう。

――そういったノウハウがまとめられたのが本書『プラス月5万円で暮らしを楽にする超かんたんAmazon販売』ということなんですね。

小笠原:そうです。書いているときは文字数が足りるか不安だったんですが、読み直してみるとけっこう読み応えがあります。これからAmazon販売を利用しようと考えている方だけでなく、すでに利用しているけれどうまくいっていない方に読んでいただきたいですね。

 個人であれ企業であれ、Amazonでやれることはほとんど同じですから、ぜひ参考にしてみてください。

プラス月5万円で暮らしを楽にする超かんたんAmazon販売

Amazon SEshop その他

プラス月5万円で暮らしを楽にする超かんたんAmazon販売

著者:小笠原満
発売日:2016年10月19日(水)
価格:1,598円(税込)

本書のポイント

●パソコンに詳しくない人でも安心のやさしい解説
●成功者のインタビューなど、具体例がいっぱい
●輸入も手掛けるプロが、売るためのコツを公開
●ハンドメイドや同人誌の販売などトレンドも網羅

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この記事の著者

渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)

翔泳社マーケティング課。MarkeZine、CodeZine、EnterpriseZine、Biz/Zine、ほかにて翔泳社の本の紹介記事や著者インタビュー、たまにそれ以外も執筆しています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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https://eczine.jp/article/detail/3672 2016/10/27 08:00

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