モール出店者が狙う、「数年内に売上2割を中国越境ECで」
日本のEC市場において、「越境EC」に注目が集まり始めて、約1年が経ちます。現時点では、「越境EC=中国向け」が中心となっています。
今回は、数年以内にEC事業の10%~20%の比率を「中国向け越境EC」で狙うべく、本格的に参入する動きについてお伝えします。
このような動きが加速する理由のひとつとして、日本国内のEC成長率の鈍化があります。日本の主要モールで年商30億円以上の売上のある企業は、平均成長率が10%を切り始めています。数年前のように前年比で15%~30%増でしたから、継続なEC事業の成長を視野に入れると、先手を打っておこうと考えるのも当然でしょう。その矛先が、中国向け越境ECに向かっているのです。
中国EC市場の現状と魅力
中国EC動向についてですが、中国で「タオバオ」「天猫」を運営するECの巨人アリババの年間流通額が50兆円を突破したというニュースも広まっています。また、中国で7億人が利用する「WeChat(微信)」を提供する巨大IT企業・テンセントと、中国EC2位のJD.comの資本連携も進んでいることも報じられるようになっています(関連リンク参照)。
中国EC市場の特徴は、市場の大きさはもちろんのこと、EC化率の高さです。すでにEC化率は20%を超え、数年以内に30%を超えるとの予測も出ています。日本が10%に届くか届かないかという状況ですので、いかに消費がネットにシフトしているかがわかるかと思います。
現在の中国EC市場は、「中国法人」が「中国国内」から「巨大モールで販売している売上のシェアが大半を占めて」います。「越境EC」のシェアは少ない状況です。
それが昨年から、中国政府の越境ECを推進する特区や税制の優遇や個人の並行輸入への締め付けが強化されるといった変化がありました。そのため、正規に越境EC販売する主要モールに、「旗艦店」を出店して販売ルートを拡大する動きが加速しそうな状況です。