速配恐れるに足らず!優秀な日本の配送サービスを活用せよ
2つ目のトピックは「物流」。Amazonをはじめ、速配を売りにした大手EC事業者が目立つ中、中小規模のEC事業者が生き残るために行うべきことは何なのか。
「日本の配送会社は素晴らしく、東京で当日の夕方に渡しても、本州のほとんどの場所に、翌日の午前中に届く。つまり本来は、どの店舗も『翌日お届け』サービスを行うことができるはずだ」(向畑)
ただし、やはり中小規模のEC事業者にとって、24時間いつでも配送対応をするのは難しい。それならばやりたいのは、「当日出荷受付時間」をサイト上に明記すること。オペレーションを考え、当日中に配送会社に渡すための時間を逆算すれば、どのサイトでも「翌日お届け」の表示をすることは可能なはず。しかし、その対応をしているネットショップは意外と少ない。
「オリジナル商品は、メールでのやり取りや、サイトでの心配りによって、届くまでを楽しみに待ってもらえる世界観を演出することも大切。たとえば、埼玉県深谷市内ならネギが30分で届きますよといった、地域限定で速配を演出するのも面白いかもしれない。モールではない独自店舗にとって一番大切なのは、お店のオリジナリティ。大手にはかなわない速さを独自性でカバーすることにより、物流での弱点を、そのお店の魅力に変えることができるのではないか」(星)
「本当に急いでいる人には電話窓口を設定することもできる。オリジナル商品にとって、実際にニーズがあるのは、速配よりもきちんとお届け日時を設定できることだったりもする。そういった細かな配慮で、大手EC事業者の速配に対抗することは十分できるのではないか」(向畑)
最近では、受け取り側が配送日時を設定できるサービスを開始する配送会社もある。日本の優秀な配送会社を味方に、中小規模のEC事業者が生き抜く術はまだ多くありそうだ。
エンタメ商材・保税区出店。海外販売を成功させる中小ECとは
3つ目のトピックは「越境EC」。インバウンド観光客による爆買いやアリババが運営する「天猫(Tmall)」などが話題になる中、海外のIPからのアクセスの増加を目の当たりにし、漠然と海外対応しなくてはいけないと焦る、中小規模のEC事業者も多いのではないか。
しかし、言語・決済・物流など多くの壁がある越境ECは、多くの中小EC事業者にとってはまだまだハードルが高い。
「エンタメなど、海外に強いジャンルは積極的に行うべきだとは思う。ただ、もし、自分たちのサイトを越境EC対応させることが難しいと感じているのであれば、まずは海外向けのモールに出店してみるというのもひとつの手かもしれない」(星)
「エンタメ、ホビー、アパレルジャンルでは海外でも売れている。中国の保税区に商品を送り、越境ではなく中国の国内配送にして、配送費や時間を短縮し成功しているネットショップもある。そういうジャンルのネットショップはもちろん頑張るべきだと思う。ただ、それ以外のジャンルで越境ECがうまくいっている事例は、正直まだ少ない。無理に行うよりは、国内の販売に集中するほうが良いと思う」(向畑)