コメ兵はなぜ、オムニチャネルに取り組むのか
ECzine編集部 これまで重きをおいてやってこられた、EC関連のお取り組みについて、コメ兵さんからお聞かせください。
藤原(コメ兵) 今まさに推進しているのが「オムニチャネル」です。昨年くらいからのバズワードですが、取り組みはシンプルで、ECサイトとリアル店舗で同じものを販売しています。そして、全国に39のリアル店舗がありますから、たとえば心斎橋店で販売している商品を銀座店で見てみたいというお客様がいらっしゃれば、ECサイトからお申し込みをしていただいて、最短で翌日には銀座店に届け、お客様に見ていただけるような仕組みを作りました。今期の売上の半分ほどが、お取り寄せ後に実店舗で購入されている状況です。
オムニチャネルの施策としてアプリもやっていまして、リアル店舗でバーコードスキャンしていただくと、ECサイトに掲載している商品であれば、詳細な情報を見ることができます。お気に入りに登録していただいて、ご自宅からECで買っていただいてもいいですし、じっくり検討していただいて、後日ご来店いただくことも可能です。
なぜオムニチャネルをやるのかですが、まずは、私たちが販売しているのが、高級な時計やブランドバッグですから、購入単価が高いんですね。そういった商品を、ECサイトでワンクリックで購入するかというと、実際にお客様のお声を聞いても、お店で実物を見てじっくり検討したいとおっしゃいます。また、実際に取り寄せすると25%くらいのコンバージョンがあるので、物流コストをかけてもペイできるわけです。より早く届けて、気持ちが冷めないうちに、より早く買っていただくための施策です。
ふたつめに、商品が1点ものであるというのも大きいです。同じ型番の時計でも、中古ですから商品の状態がそれぞれユニークです。ですから連携が命で、ショッピングモールでも、eBay、楽天、Amazon、Yahoo!ショッピング、ヤフオク!にも出店させていただいていて、全部同じ商品を売っています。15分間隔くらいで全部連携させていて、そこは力を入れてやっています。
3つめに、実店舗のスタッフが財産であること。中古品なので、どうしてもどこかに傷があったり、すでにブランドでは販売中止になっている廃盤商品もあったりします。そのあたりを、知識を持ったスタッフがきちんと説明することが重要だと考えています。さらによい接客をして、最終的にはLTV向上につなげていくわけです。
最後に、今日、経営者の方もお見えになっているかもしれないですが、結局ひとつの商品を、33店舗どこでも販売することによって、在庫をすごく少なくすることができます。オムニチャネルは、キャッシュフローの面から見ても、商品を回転させることにも役立っているのかなと考えています。