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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

EC関連企業の財務状況をきまぐれにチェック

ホテル予約サイト「一休」が好調 旅行ビジネスも、ネットオンリーが営業利益率高め


BtoCビジネスで数少ない勝ち組の1社、一休(2450)の業績推移を確認してみよう。

営業利益率20~30%!ホテル予約サイト「一休」が好調

 高級ホテル・旅館の予約サイト「一休.com」を運営している一休(2450)の好調さが際立つ。同社の1株当たり純資産額は200円強といったところだが、株価がその10倍前後の2,000円台で推移しているというのは、株式市場での評価が高いということだろう。

 事実、2005年の株式公開以来、赤字転落は皆無。営業活動によるキャッシュフローも常に黒字(入金超)を計上。創業時からの利益の蓄積である利益剰余金も、毎期、着実に増額となっている。市場の拡大とは裏腹に、低い利益率や赤字に苦しむ他のBtoC関連企業とは対照的である。

一休の業績推移

                 
  10年度  11年度 12年度 13年度 14年度
1室平均単価 22,949円 22,337円 23,355円 24,455円 26,603円
販売宿泊室数 133.5万室 148.4万室 163.4万室 173.3万室 189.8万室    
取扱高 306億円 331億円 381億円 423億円 505億円
手数料収入 25.4億円 30.4億円 39.7億円 45.1億円 52.9億円
取扱高中
手数料の割合
8.3% 9.2% 10.4% 10.6% 10.5%
 
全体売上高 29億5,000万円 36億7,600万円 48億4,700万円 55億2,800万円 66億1,900万円
営業利益率 21.1% 27.9% 33.5% 36.2% 33.3%
純利益 2億6,600万円 4億8,400万円 10億1,400万円 12億2,000万円 14億600万円
利益剰余金 29億9,300万円 31億5,100万円 38億3,800万円 42億2,400万円 44億5,300万円

 ロイヤルパークホテル、シャングリ・ラホテル東京、ザ・プリンスパークタワーホテル、東京ドームホテル……。

 この5年に限っても、販売宿泊室数は拡大の一途であり、1室の平均単価も毎年のように上昇。14年度は約190万室の予約客を宿泊施設に紹介し、その平均単価は2万6,603万円。結果、取扱総額は505億円だった。

 ただし、同社が売上高として計上するのは、ホテルや旅館から得る手数料収入である。紹介料といってもいいだろう。それは、取扱高総額のおよそ10%。つまり、「一休.com」を利用して予約をする宿泊客は、その支払額の10%前後を一休に支払っているという計算になる。

 14年度でいえば、ホテル代2万6,000円のおおよそ2,600円が一休の取り分。一休はその2,600円の中から、540円に相当する人件費などの経費を賄う。広告宣伝費は380円、実質的には値引きであるポイント費用はおよそ433円についている。それでも儲け(営業利益)は、860円強。20%台から30%台という高い営業利益率は、こうして実現しているのだ。

 オンライン旅行会社(OTA)による競合激化は必至の情勢だが、東京五輪に向けてホテルの新設が続いていることで取扱宿泊施設の増加が見込めるだけに、同社の拡大基調は当面は続くと見ていいようだ。

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この記事の著者

ビジネスリサーチ・ジャパン(ビジネスリサーチ・ジャパン)

1995年設立。代表・鎌田正文。週刊誌や月刊誌、経済誌などを中心に、金融・流通・サービス・メーカーなどの各分野から経済全般まで、幅広く取材・執筆。著者に『図解! 業界地図 2023年版』(プレジデント社)、『図解 これから伸びる企業が面白いほどわかる本 2012年版』(新人物往来社)、『図解 人気外食店の利益の出し方』(講談社+α文庫)、『[図解]儲けの秘密がよくわかる本』(PHP研究所)、『[図解]気になるあの会社の給料がわかる本』(PHP研究所)『取締役の値段 6: 社会インフラ関連業界 [Kindle版] 』『数字でわかる! あの企業・店舗が儲けている仕組み』など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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