今、「越境EC」が盛り上がる背景を考える
今回のテーマは「越境EC」です。この連載は、そのときホットなトピックをお届けするというテーマですが、そうそう都合よくホットなテーマがあるとは限りません。ところが今回は、久しぶりに、ちょうどタイムリーなテーマが見つかりました。
アリババのグローバルECモール「天猫国際」関連のニュース
こうしてみると越境ECというより天猫国際がテーマのようですが、それだけ中国市場がホットという証左でもあります。
もちろん、中国以外の越境ECのニュースも最近は増えてきています。
中国以外への越境ECのニュース
越境ECは「距離」を超える
企業が売上拡大等を目的に、海外に進出するというのは常套手段の1つですが、なぜ今、越境「EC」が盛り上がっているのでしょうか。実店舗とECを比較し、それぞれの特徴を考えてみます。
実店舗
- 実物が見られる
- 接客による高度な商品検索
- その場で手に入る
EC
- 時間や距離を問わない
- 相対的に安いことが多い
- 在庫が豊富なことが多い
このうち、「距離を問わない」というECの利点をさらに強めたものが越境ECであると言えます。
もともとネットの最大の特徴はなにかというと、この「距離を超える」という点です。時間も超える気がしますが、実は「距離」を超えることで結果的に「移動時間」がなくなっているだけで、時間を超えることはできません。
さて、前述の比較は消費者側の視点ですが、これは出店者側にとっても同様です。つまりECは実店舗に比べて、「出店者にとっても」距離を超えるというメリットがあるということです。
以前の記事で「ECは店舗に較べて出店コスト(リスク)が格段に下がるため、自社ECの敷居が下がってきた」という点について触れました。つまりECは、「出店コストを下げることができる」ため、自社ECにも越境ECにも取り組みやすくなる側面があるわけです。