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【オンライン】ECzine Day 2026 February (2026.02.13)

ECビジネス・スタンダードの再定義

KPIを「部分最適指標」にしていないか?「階段図」でEC売上の構造を可視化する。

「階段図」で売上の「構造」を把握する

売上=顧客数×客単価

 この式だけでは「時間経過による積み上げ」や「離脱」が見えません。 そこで、この式を構造的に可視化し、時間軸で捉えるために「階段図」というフレームワークがあります。

 階段図とは、いわゆるコホート分析を可視化したものです。「その年に獲得した顧客が、翌年以降どれだけ残り、いくら購入しているか」を地層のように積み上げて見るECビジネスにおける最重要フレームワークです。

 株式会社シンクロの西井敏恭さん(多くのD2C・メーカーECの成長戦略を支援)などが活用されているフレームワークであり、事業の「伸び方」や「継続率」を構造的に見るための重要な考え方です。

 年度ごとの新規顧客を縦軸に、翌年以降の人数・売上を横軸に並べることで、各年の顧客が2年目以降にどれだけ購入を続けているかを追跡し、LTVや継続率の変化を「階段状」に表します。

 たとえば、2023年に新規で購入した1万人が、翌年(2024年)に4,000人(40%)が再購入し、その2年目継続者が2025年には3,000人(75%)が継続購入しているといった形です。

 業種・業態によりますが、2年目以降まで購入を続けてくれる顧客は単価が上がります。

 縦軸を「顧客数の積み上げ」、横軸を「経過年度」で見ることで、事業の「顧客基盤の厚み」を時間軸で捉えることができます。

 経年での顧客数の減りが緩やかであれば、長期的な定着が進んでいると言えますし、逆に激しく落ち込んでいる場合は、獲得手法や体験に課題があるということが読み取れます。

 この図を読むことが、構造的な事業判断の起点になります。

なぜ階段図を見るのか

 単年の売上やCPA・LTVだけでは、事業の「真の構造」は見えてきません。階段図を見れば、「どの年度の顧客が、現在の売上を支えているのか」が一目でわかります。

 たとえば、当年度の売上が前年比120%で、その増加分の多くが「前年顧客のリピート」によるものなら、CRMが正しく機能していることの証明になります。その場合、次の打ち手とは、「CPAを少し悪化させてもいいから、新規獲得の母数を増やす」ことが視野に入ります。

 このように、階段図は「売上の中身」を分解し、成長への道筋を明らかにする地図になります。また、階段図を分析することで、注力しないといけないポイントが明確になります。

 筆者も実際、「CRMに注力しているが成果が出ない」といったご相談を多くいただきますが、蓋を開けてみれば、そもそもECビジネスをはじめて2年しか経っておらず既存顧客層が積みあがっていない状態だった、ということがよくあります。

 この場合、優先すべきは「CRM」でなく「新規獲得」と「F2転換」なので、リソース配分を変えましょう、というようなアドバイスを行います。

 階段図で構造を理解することで、中長期での戦略を考えていくことが可能となります。

 単年のCPAやLTVという「点」の指標ではなく、「層(レイヤー)」でビジネスを捉える。階段図は、「いま自分たちがどのような状況にあるのか」を把握する地図となります。

 現状の把握・課題感の抽出だけでなく、中長期の売上予測にも使えるので、EC担当者はこのフレームワークを使いこなすべきだと考えています。さらに、ECといったダイレクトビジネスだけでなく、会員制度のあるリアル店舗などでも活用可能なので、様々なビジネスに展開可能です。

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KPIが部分最適になる理由1:「売上の構造」が共通言語になっていない

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この記事の著者

兒嶋 仁視(コジマ ヒトミ)

PALA株式会社 代表取締役 大手日用品メーカーにて、健康食品・化粧品のEC事業を統括。その後、クラフトチョコレートブランドにてEC責任者を務め、2025年7月にPALA株式会社を設立。 現在は、D2Cブランド、大手日用品、アパレルブランドなど、複数の企業のECやブランド立ち上げを支援中。事業戦略か...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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