日本でのTTSをめぐる現状の課題と今後の市場予測
ここまで、TTSを有効活用するための攻略法について解説しました。最後にTTSの課題と今後の予測を3つに分けて紹介します。
1. 市場の急拡大とクリエイター獲得競争の激化
ECzineへの連載開始からわずか3ヵ月で、TTSの市場は目覚ましい変化を遂げました。市場全体のGMVは毎月急拡大しており、参入するショップの数と取り扱い商品のバリエーションが飛躍的に増加しています。
この急速な成長の裏側で、企業が直面している課題が「クリエイター獲得競争の激化」です。参入ショップが増えたことで、優良なクリエイターを自社ブランドへ引き込むことが難しくなっています。この課題を克服するためには、企業はクリエイターにオファーを出せる手段を幅広く持ち、戦略的に使い分けることが重要となります。
2. コンテンツの多様化と制作体制の必要性
TTS市場の初期段階では、動画のトレンドは単純な「商品レビュー」が中心でした。しかし、現在はVlog形式やエンタメ要素を取り入れたコンテンツなど、動画フォーマットや表現のバリエーションが増加しています。
これは、ユーザーがより自然なコンテンツを求めている証拠であり、企業側はこのトレンドに対応できる「クリエイティブのフォーマットや表現の研究と拡充」、そしてそれを実現するための確かな制作体制を整えておくことが求められます。
3.TikTokが目指す世界観への接近
これらの「ショップバリエーションの拡充」と「動画フォーマット表現の拡充」という流れは、TikTokが目指す「創造性を刺激し、喜びをもたらすエンターテインメントプラットフォーム」と「動画コンテンツ起点のディスカバリー・コマース」の世界観に、日本市場が急速に近づいていることを示しています。今後、TikTokは単なる動画プラットフォームではなく、コンテンツが購買を動機づける「新しい消費のインフラ」として、その地位を確立していくでしょう。
まとめ
セプテーニが考えるTikTok Shop活用における重要なポイントは、ショート動画とライブ配信を両輪に据え、アルゴリズム適合を前提とした動画供給と、広告・クリエイター体制を戦略的に掛け合わせることにあります。
コンテンツの量と質を担保しつつ、ライブでは熱量とリアルタイム性を最大化。広告で検証を高速化し、勝ちパターンを特定。適切なクリエイターマネージメントで供給体制を拡張する。これらを地道なPDCAで磨き続けることが、TikTok ShopにおけるGMV最大化につながります。
