ライブ配信の売上を押し上げる重要な要素とは?
ライブ配信の最大の役割は、「今買わなければ損だ」と感じさせる熱量の創出です。リアルタイム性(コメント返し・ユーザーの不安解消)、熱量と説得力(ライブ限定クーポン・実演販売)といった特徴を活用した施策や、ファンの存在などが売上を押し上げる重要な要素となります。
また、ショート動画と同様に、クリエイターアカウントと企業アカウントのどちらで発信するかでメリットが異なります。
【クリエイターアカウント】
・クリエイターのトークと関係性で、ファン層の購入意欲を最大化
【企業アカウント】
・販売員・営業など自社資産を活かした高い接客力で購入率を最大化
・サンプリングしづらい商材の売上起爆剤
・クリエイターに依存しない販路の確立
第1回でも言及したように、当初、日本では海外市場(特に中国)と比較して、ライブ配信よりもショート動画が主流になると予測されていました。現時点でも、ライブ配信に積極的に参入しているショップやクリエイターは、他国に比べると限定的です。
しかし、2025年6月30日の日本ローンチ以降、初期からライブ配信を活用してGMVを向上させている事例が多く確認されており、ライブ配信が現時点でのTTSにおける重要施策の一つであることは間違いありません。
一方で、企業アカウントでライブ配信を行う際「フォロワーがいないと意味がないのではないか?」という質問をよくいただきます。
実際のところライブ配信は、ショート動画よりもフォロワー数の影響(変数)が大きい傾向にあり、それは以下のアメリカの事例からも明らかです。

しかし、TikTokのレコメンドシステムは、このフォロワーの壁を突破する可能性があります。
TikTokのレコメンドシステムの特性:他のSNS(例:Instagram)がフォロワー中心の展開を優先するのに対し、TikTokは「良いコンテンツ(※)」であれば、フォロワーの多寡に関わらず、「おすすめ」フィードを通じてフォロワー外の新規ユーザーにライブコンテンツをリーチさせる。
※「良いコンテンツ」の定義:視聴維持率、エンゲージメント率、ライブへの入室率が高いコンテンツを指す。
この特性を十分に理解しつつ、以下のような重要な戦略をフル活用して掛け合わせれば、フォロワー数が少なくても、GMVを向上させることが可能です。
指標に応じた広告プロダクトの選定と運用:「ライブ視聴者数の最大化」や「購入者数最大化」
購入意欲を高める即時性・エンゲージメントの高いモデレーション:滞在時間の最大化
時間帯・テーマ別に最適化された台本と構成の作成:入室率と購買率の最大化
このように、フォロワー数に関わらずGMVを向上させることは可能ですが、アメリカの事例が示す通り、高GMVを安定的に維持するには、フォロワーの「ファン化」が不可欠です。したがって、ライブ配信は、初期段階で新規ユーザーを呼び込みつつ、並行してフォロワー基盤やファン動員を強化することが、中長期戦略として有効となります。
また、企業アカウント経由のライブ配信は、サンプルが用意しにくい商品を取り扱っている、社員が出演できる等の企業・ブランドにより向いています。ライブの成功には「演者」「ファシリテーション(モデレーション)」「撮影機材」「スタジオ」「運営ノウハウ」「LIVE中の広告運用」「オペレーション」が複合的に関与するため、配信結果を踏まえた地道なPDCAが不可欠です。
