インハウス運用の課題は専門人材の確保と維持
━━最初にAmazonの広告ソリューション「Amazon Ads」の特徴について教えてください。
金子 Amazon Adsの強みは大きく2つあります。1つは、フルファネルで広告ソリューションを提供できる点です。Amazon Adsでは、スポンサープロダクト広告などAmazon内で配信できる広告だけでなく、Fire TVやPrime Video、Twitch、Amazon DSPなどを通じて、Amazon内外の様々な広告枠に配信することができます。ファーストパーティーシグナルを活用した精度の高いオーディエンス設定、かつ圧倒的なリーチ力で認知からコンバージョンまで、フルファネルであらゆる規模の広告主様の目的に合わせたサポートが可能です。
そして2つ目は、パフォーマンス計測の精緻さです。Amazon Marketing Cloud（AMC）と呼ばれるデータクリーンルームを活用すると、Amazon Adsを通じてどのようなオーディエンスにリーチしたかがわかり、次にどのオーディエンスにリーチすべきかといった高度な分析を提供します。
━━今回はAmazon Ads パートナーの活用をテーマにしていますが、中にはAmazon Adsをインハウスで運用しようと考えている企業もいると思います。そのような企業の方にメリット・デメリットをお話しいただけますか。
金子 インハウス運用には、コストを抑えられる点や、自分たちですぐ設定を変更できるスピード感、知見が社内に溜まるという大きなメリットがあります。
しかし、インハウス運用の最大の課題は、専門知識を持つ人材を常に確保し続けることです。また、広告主の皆様は本来、良い製品・サービスを提供するために企画や開発に時間をかけたいはずです。そこに集中するためには、広告運用を外に委託するという選択肢も検討しても良いのではないかと思います。
すでにインハウス運用ができる体制や人材が整っている場合は、広告運用の効率化や目的などに応じて広告運用を最適化するツールの導入なども選択肢としてあります。
━━どのような広告主であれば、Amazon Ads パートナーの活用を検討すべきでしょうか？
金子 いくつかのパターンがあります。まず、社内に広告運用するメンバーが限られている、あるいはいない場合です。加えて、運用している商品・ブランドが非常に多いケースや、さまざまなチャネルで商品を販売しているケースです。それぞれのチャネルの管理をすべて社内のリソースでまかなうのは困難な場合があります。
またより高度な広告運用や分析をしたい場合や、認知からコンバージョンまで包括的な広告戦略を策定・実行していきたい場合、広告運用の自動化・効率化をしたいケースなどはAmazon Ads パートナーの活用が有効な場合があります。
Amazon Ads パートナーはAmazon Adsの最新動向や情報のキャッチアップを常に行っていますので、そうした知見を借りながらAmazon Adsを活用してみてもいいかもしれません。また、自社の広告の成果が本当に正しいのかを客観的に測るためにも、Amazon Ads パートナーを活用するメリットは大きいです。
Amazon Ads パートナー活用がもたらす最大のメリットとは？
━━インハウス運用と比較して、Amazon Ads パートナー活用の最大のメリットは何でしょうか？
金子 Amazon Ads パートナー活用の最大のメリットは、多くの広告主様のサポートをしてきた実績に裏打ちされた知見を持っていることです。それぞれの業界や各チャネルに対するノウハウがありますから、それを活用できる点が一番大きいでしょう。
また、Amazon Ads パートナーはAmazonの担当者ともリレーションがあり、Amazonとの連携方法を熟知しています。そのため、より高度な広告の出稿や効果的な運用の支援につながります。
━━Amazon Ads パートナーには、代理店とテックパートナーという区分がありますが、それぞれの違いを教えてください。
金子 代理店は、広告の予算計画から運用代行まで、戦略の企画・遂行を一連のプロセスとして行うのが主な役割です。一方でテックパートナーは、SaaS型の運用自動化ツールなど、広告運用や効果計測、分析をサポートするツールを提供しています。インハウス運用を効率化したい、特定の分析機能を強化したいなど、具体的なニーズに応えます。
また、代理店とテックパートナーではコスト面でも違いがあります。代理店は運用費用の何割かを手数料とするモデルが多いのに対し、テックパートナーはソリューション導入にかかる月額の固定費用のみで迅速、かつ手軽に始められるものがあります。広告運用における明確な課題や目的がある場合は、テックパートナーを活用し、その課題や目的を達成するという方法も考えられるでしょう。
失敗しないAmazon Ads パートナー選びの3基準
━━広告主がAmazon Ads パートナーを選ぶ際に、まず確認すべき最も重要な判断基準を3つ挙げるとすれば何でしょうか？
金子 Amaon Ads パートナー選びにおいて、特に重視していただきたいポイントは3つあります。1つ目は、Amazon Adsの認定パートナー制度をクリアしているかどうかです。認定パートナーは、私たちが設定した一定の基準を通っているため、提供するサービスの品質が担保されていると言えます。さらに、そのなかでも実績などに応じて「ベリファイド（承認済み）パートナー」と「アドバンスド（上級）パートナー」という2段階のステータスがあり、パートナーの高いサポートレベルを証明する1つの指標になっています。
2つ目は、自社の業界に対する知見や経験値があるかという点です。書籍や日用品、コスメ、PC・ガジェットなど、Amazon Ads パートナーがどのような業界を得意としているか、具体的な事例を見ながら確認できます。この実績の有無が、成果を出すための提案の質に大きく影響します。
そして3つ目は、広告主様のビジネスに対する理解度の深さです。Amazon Ads パートナーは、文字通り『伴走者』であるべきです。自社のゴールやKPI、ビジネスの特性を深く理解してくれる担当者でなければ、なかなか良い結果につながりません。担当者とのコミュニケーションを通じて、自社への理解度を測っていただきたいと思います。
━━Amazon Ads パートナーを選ぶ際に参考となる情報源はありますか。
金子 Amazon Adsのウェブサイト上には条件に合わせてパートナーを検索できる「パートナー検索ディレクトリ」を用意しています。ここで自社のニーズに合ったパートナーを検索することが可能です。
また、私たちは定期的にイベントやウェビナーを開催しており、YouTubeでも情報提供をしています。これらのチャネルを通じて積極的に情報収集をしていただければ、自社に最適なAmazon Ads パートナーを選ぶヒントが見つかるはずです。
Amazon Ads パートナーに知見と技術が集まる理由
━━Amazon Ads パートナーは、Amazon Adsからどのように情報提供や連携を受けているのでしょうか？
金子 私たちの部署（パートナー事業本部）では、Amazon Ads パートナーの皆様がAmazonの最新情報をキャッチアップできるように、定期的に勉強会やセミナーを開催しています。そこで最新の情報や具体的な成功事例などを届けるようにしています。
認定パートナーの皆様は、このような機会に定期的に招待していますので、必然的に最新の知識を持っていると言えます。Amazon Adsのソリューションやサービスは常にアップデートされていますから、最新の情報を得ているAmazon Ads パートナーと組むことは、オンラインストアの事業者様にとっても非常に大きなメリットとなります。
━━Amazon AdsとAmazon Ads パートナーとの連携はどのように行われているのですか？
金子 案件によっては、Amazon Adsの営業担当と代理店、あるいはテックパートナー、そして広告主様の三者間でのミーティングを設けることも少なくありません。広告主様のゴールに合った取り組みをどう進めていくか、どのようにより良くしていくかといった議論を三位一体となって進めています。
こうした連携の場を持つことで、広告主様が目指す成果の最大化に向けて、それぞれの立場から知見を持ち寄り、戦略を練ることが可能になります。この定期的な連携を通じて、Amazon Ads パートナーにはAmazon Adsに関する深い知見や技術が絶えず蓄積されていく構造になっているのです。
成果に直結する取り組みをAmazon Ads パートナーと行う秘訣は？
━━御社から見て「非常に成果を出している」と感じるAmazon Ads パートナーには、どのような特徴がありますか？
金子 最も大きな特徴は、広告主様のことを深く理解するために時間を使っているということです。どのようなゴールを持っているか、KPIをどう設定すべきかといった点を、広告主様と本当によく話し合っているAmazon Ads パートナーは、結果につながるケースが多いです。
また、そのようなAmazon Ads パートナーは日頃からさまざまな成功事例を学び、Amazon Adsのソリューションやサービスに関しても非常に詳しいです。個別のプロダクトだけでなく、それらを総合的に組み合わせて使うとどうなるかという知見が深いため、広告主様の課題解決に最適な戦略を提案できるのです。ただ運用代行するだけでなく、深くビジネスに入り込んでいく姿勢が、成果に直結しています。
このような取り組みを評価する場として、Amazon Adsでは、広告主様の成功に特に貢献したパートナーを表彰する「Amazon Ads パートナーアワード（※）」を毎年開催しています。2025年は11月に受賞者が発表され、日本からは株式会社ウブンとXnurta（エックスナータ）が受賞されました。このアワードにもぜひご注目ください。
※Amazon Ads パートナーアワードは、デジタル広告における革新的な取り組みやイノベーションを推進したパートナーを称える表彰プログラムです。Full Funnel Advertising やBrand Storytellingなどの様々な部門で、広告主様の成功を導く優れたパートナーを表彰します。詳細は特設ページをご確認ください。
━━広告主とAmazon Ads パートナーが強固な協力体制を築き、より大きな成果を出すための「コミュニケーションや連携」の秘訣を教えてください。
金子 これは広告主様とAmazon Ads パートナー、両方の働きかけが重要だと考えています。Amazon Ads パートナーがいくら優秀でも、広告主様がゴールやKPI、何を達成したいのかを透明性高く伝えないと、良いパートナーシップは築けません。
広告主様が『何をしたいのか』、そして『自分たちのビジネスの現状はどうか』といった状況を包み隠さず示すことで、お互いの理解度が深まります。その結果、Amazon Ads パートナーはより深くお客様のビジネスに入り込み、最適な提案や実行ができるようになります。透明性の高いコミュニケーションこそが、成功事例を作るための秘訣です。
取り組みを加速し、より良いAmazon Ads活用を目指す
━━Amazon Adsの活用を検討している、あるいは現在の成果に満足していない広告主に対し、Amazon Ads パートナーを活用することの意義について、改めてメッセージをお願いします。
金子 広告主様につきましても、Amazon Ads パートナーにつきましても、Amazon Adsの活用によってより良い状態を作っていきたいという目標は一緒だと思います。広告主様、Amazon Ads パートナーの皆様、Amazon Adsが一緒に取り組むことで、より大きな効果を出せると確信しています。Amazon Adsとしても、皆様が成功できるよう、最大限支援していきたいと考えています。
━━最後に、読者の皆様がAmazon Adsの活用を成功させるために、Amazon Ads パートナーと協力して取り組むべき「次のアクション」についてアドバイスをお願いします。
金子 まず、Amazon Ads パートナーについてあまり詳しく知らないという方もいらっしゃるかと思いますので、今回の特集や私たちのウェブサイトで公開している情報などを通して、Amazon Ads パートナーについての理解を深めていただければと思います。そして、『自分たちが依頼するとどうなるか』というイメージをぜひ持ってみてください。
Amazon Ads パートナーという存在を知り、自分たちがどの段階にいるかを理解した上で、もしサポートが必要だと判断された場合は、Amazon Adsのウェブサイトにあるパートナー検索ディレクトリをご利用いただくか、あるいはすでにAmazonの営業担当などとリレーションがある場合は、担当者経由で相談をしていただくことも可能です。まずは一歩踏み出して、Amazon Ads パートナーの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
