ECを超えて 楽天の全サービスで自治体のニーズに取り組む
――まず新春カンファレンスで三木谷さんが「BEYOND」をテーマにされたように、楽天さんが自ら、楽天市場というECを超えていこうとしていますよね。出店しているEC事業者さんたちは、びっくりしているのでは?
「結論から言うと、店舗さんたちのほうが先に進んでいて、『リアル』を見ていらっしゃいます。皆さんご承知のとおり、もはやリアルとネットの垣根はありません。これまでも、ネットショップで始められた事業が大きくなって実店舗を持たれた例がいくつかありますし、我々も2010年から、百貨店さんと一緒に『うまいもの大会』という物産展を開催してきました。チェックインでポイントが貯まる『楽天チェック』や、リアルの決済『楽天Edy』といったサービスも出てきていますしね。こうした積み重ねも、店舗さんたちのお考えに影響していると思います。
今回の『みやざきWeeeeK!! 2015』での宮崎県さんとのコラボでも、楽天市場で都道府県の名産品を集めた『まち楽』でフェアをやらせていただくというECの取り組みはもちろん、渋谷の楽天カフェで宮崎焼酎とおつまみのセットを出したり、設置してあるKoboで宮崎県をPRしたり、楽天チェックで『新宿みやざき館KONNE』という物産館に案内したりと、リアルの施策のほうが多いくらいです」
――ポイントや決済サービスに加えて、「楽天トラベル」との連携も強みとされていますよね。
「『楽天トラベル』との連携は強みだと思います。1つには、そもそも、自治体さんの『物産』と『観光』を担当されている部署が、密接につながっていたり、同じ部署内でやられていたりすること。一緒にご相談いただいてどちらのニーズにも応えたいとなると、ECのサービスだけでは限界があります。
もう1つは、消費者の立場に立って考えてみると、例えば北海道の食品をたくさん購入されている方は、北海道に何度も旅行に行かれている。そこの相関性は言わずもがなですよね。これをさらに詳細なデータ分析を行って、いかにクロスユースを促進していくかを考えています。
商店街を活性化したい、というご相談もよくいただきます。以前の取り組みを挙げると、『たかおか未来WEB商店街』という、その商店街のすべての店舗さんに楽天市場に出店いただいた例がありました。それはそれで効果があったんですが、リアルの商店街まで活性化させるというところまではいけなかった。それが、リアルの決済でも使える『Rポイントカード』を導入していただくと、楽天市場で貯まったポイントを使いに足を運んでくださるかもしれない。
偉そうなことを言っていますが、当社も2014年からようやく、楽天市場と他のサービスのチームが一緒にご提案に行けるようになってきたんです。楽天市場がお問い合わせをいただく窓口になったとしても、オフラインの取り組みから始めていただいてもいい。ひとつひとつのサービスはもとより、楽天グループ全体としてシナジーが創出できるような価値を提供していきたいと考えています」