越境ECプラットフォームの位置づけを左右する“経済発展中の国”
次の二つの円グラフは、世界の消費者を対象とした「越境ECで最近購入したプラットフォーム」に関するアンケートの2023年時点と2024年時点の結果です。両年ともに、Amazonが24%で1位に変わりはありません。しかし2位以下を見ると、2023年はAlibabaが16%でしたが、2024年はTemuが21%となっています。わずか1年でTemuは7%から21%に急拡大したのです。そのかわりに、Alibabaが16%から10%にダウンしています。

このように、定点観測的に二つのグラフを比較するとわかりやすいのですが、越境ECプラットフォームの人気は、時間の経過とともに変化します。むしろ“変化するものだ”と思っておいたほうが良いかもしれません。いわゆるトランプ関税によって中国から米国への販売に影響が出るなど、予期しない外的要因も人気プラットフォームの変化に影響を与えるでしょう。越境ECプラットフォームを通じて自社製品を販売したい事業者にとっては、悩ましい事態です。変化を適宜見極める必要があります。
グラフのとおり、現状はAmazon、eBayの米国勢、Temu、Alibaba、SHEINの中国勢が大きなシェアを占めています。しかし、たとえば経済発展が目覚ましい東南アジア諸国では、元々Shopeeの人気が高いです。仮に東南アジア諸国の消費者が、これから越境ECで頻繁に買い物をするようになれば、Shopee上で販売したいと考える日本企業が増えるはずです。
同様に、グローバルサウスと言われる新興国や、裕福度が高い割にはまだEC市場が成熟しているとはいえない中東諸国(サウジアラビアやUAEなど)において、消費者による越境ECでの購入意向が高まると、おのずと越境ECプラットフォームのシェアは変わります。要するに、経済発展を遂げている国々の消費者が今後の越境ECプラットフォームの人気を左右するのではないか、ということです。
最後に、上の円グラフのようなデータを無償で入手する方法をお伝えします。このグラフのもととなっているデータは、IPC(International Post Corporation)という国営郵便事業の協力団体が、毎年無償で発刊している越境ECに関する調査報告書「Cross-Border E-Commerce Shopper Survey」に記載されています。毎年状況を確認することで、どのような越境ECプラットフォームが、どれくらい人気があるのかわかります。ぜひ参考になさってください。