人口とEC化率の相関関係 事業成長の鍵を握るのは地方の消費者?
次の表は、複数の情報リソースにもとづいて当社が独自推計した都道府県別のEC化率です。なお、ここでいうEC化率は金額ベースであり、ECサイトの利用回数や利用意向に関するデータではありません。また、ランキング形式で表示していますが、数値が高いから良い/低いから悪いといった意味がない点もご理解ください。
第1位は東京都で11.97%、次いで神奈川県11.36%、大阪府10.91%、愛知県10.81%、埼玉県10.14%となっています。ランキングを見ればわかるように、上位は軒並み大都市圏です。反対に、大都市圏以外の地域はEC化率が低い傾向にあります。これから先、地方都市は人手不足によって実店舗の減少が予測され、ECサイトが買い物の生命線となるかもしれません。それにもかかわらず「地方都市の消費者のEC化率が低い」というのは、やや皮肉ともいえる結果です。
都市の規模は人口で測ることができます。そこで、タテ軸を都道府県の人口、ヨコ軸を都道府県別のEC化率として、散布図Aを作成してみました。
EC化率が最も高い東京都は、人口も最も多い都市です。EC化率第2位の神奈川県、第3位の大阪府も人口が多いため、散布図Aでは右上に位置します。一方で多くの都道府県が「EC化率9%以下・人口200万人以下」のゾーンに位置しています。
そこで個々の県の位置を認識できるよう、赤枠のゾーンの拡大版として散布図Bを作成しました。都道府県で多少の差はありますが、人口との相関関係がうかがえる結果です。
大都市圏と地方都市では、出店している企業の数に差があると誰しも実感しているはずです。たとえば、47都道府県を全て網羅しているアパレルブランドは限られているでしょう。
以前のコラムでも述べたように、地方の小売のパワーは大都市圏と比較して大きくありません。したがって、理論的に考えれば地方都市在住の消費者はECサイトを多用せざるを得ないはずです。しかし、データを見る限り実態は異なります。EC事業者にとって、こうした状況にある地方在住の消費者へどうアプローチするかが、今後の事業成長の重要なテーマとなるでしょう。