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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

日本の魅力発掘に挑戦!越境ECで広がるブランドの可能性

京和傘の老舗・日吉屋の廃業を止めた5代目の経営手腕 通販事業をきっかけにオンオフの海外展開へ

新規顧客を開拓し続ける商材 だからこそ海外展開は必要不可欠

 経営の立て直しに成功した日吉屋だが、西堀氏は「事業拡大を進める中である課題にぶつかった」と話す。

「通販事業を開始してから、売上は何倍にもなりましたが、急激な成長が永遠に続くわけではありません。京和傘のような伝統工芸品は日常的に使用するものではありませんし、リピーターも稀です。常に新規顧客を開拓し続けなければならない商材だと気づきました」

 そこで西堀氏が着目したのが、現在の小売・卸売事業にもつながる新商品の開発だ。「通販事業の次に起こった大きな変化」と語る。日吉屋は2006年に京和傘の素材を生かした照明器具を開発し、販売をスタート。現在、同社の販売する商品の60%は照明器具をはじめとしたインテリア雑貨が占めるという。

「京和傘を製造する際、骨組みに和紙を貼って天日干しする工程があります。偶然、天日干しした京和傘を手に取って太陽にかざしたとき、きれいに光が透けることにハッとしました。この特徴を生かして照明器具を製造すれば、インテリアとして需要があるのではないかと考えたのです。試行錯誤しながら新商品として打ち出すと、一般消費者だけでなく建築家やインテリアデザイナーから問い合わせが入るようになりました。現在は、高級ホテルのエントランスなどにも採用されています」

(左)古都里-KOTORI-/(右)WAGASA Light
(左)古都里-KOTORI-/(右)WAGASA Light

 こうした施策はすべて、「伝統工芸品をどう次の時代に継承していくかが軸となっている」と西堀氏は強調する。

「頻繁には使用されない点が、京和傘の課題です。次の世代に受け継いでいくには、日常に溶け込むよう形を変える必要がありました」

 実際、「伝統は革新の連続」を理念とした新たなアイデアによって販路や認知が拡大している。フランス、アメリカ、シンガポールに、それぞれインテリア雑貨のショールームを構えるほどだ。加えて、同社はこれまでに国内外のデザイナーとのコラボレーションを実現。ファッションブランド「YUMI KATSURA」の依頼を受け制作した「WAGASA DRESS」は、「Paris Fashion Week 2011」で披露された。

「日本の人口は、今後さらに減少すると予想されます。国内だけにとどまっていては、新規顧客を獲得できません。世界に目を向けるのが自然でしょう。新商品として販売しているインテリア雑貨の市場は競争が激しく、照明器具で国内外の大手メーカーに対抗するのは難しいといえます。当社のような中小企業にとって、大企業が進出しない『グローバルニッチ』市場を狙うのも選択肢の一つです。そのため、新商品の開発は初めから海外展開を目指して進めてきました」

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中小メーカーが海外市場でネットワークを構築する方法

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この記事の著者

ECzine編集部 藤井有生(フジイユウキ)

1997年、香川県高松市生まれ。上智大学文学部新聞学科を卒業。人材会社でインハウスのPMをしながら映画記事の執筆なども経験し、2022年10月に翔泳社に入社。現在はウェブマガジン「ECzine」で編集を担当している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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