2024年4月3日午前に台湾東部沖で発生した大地震により、被害にあわれた皆様に謹んでお見舞い申し上げます。被災地の皆様の安全と、一日も早い復興を心からお祈りいたします。
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リアル需要は販促の世界にも アジアへのアプローチ術を紹介
訪日観光客の回復・人流の復活に象徴されるように、2023年以降は世界全体が「アフターコロナ」「ウィズコロナ」の時代へと移行しました。それにともない、海外への催事出展やポップアップ開催など、現地で直接アプローチができる販促への関心が高まっています。商品を実際に手に取り、魅力を体験していただける現地催事は、海外販路拡大の上でも有効な施策の一つであるといえます。
一方で、「海外」と一口にいっても、実際には国ごとに商習慣も異なります。未経験で催事参加を検討しても、何から始めていいのかわからないという方も多いでしょう。また、コロナ禍以降、越境ECに取り組む事業者が増えたことにより、海外催事と越境ECを組み合わせた活用も広がっています。そこで今回は、主に台湾を中心としたアジア圏の海外催事出展と越境EC活用をテーマに解説します。
海外催事参加のハードルは下がっている 新規参入も可能なのか?
日本でも大規模な展示会イベントが復活していますが、台湾やシンガポール、香港、中国などでもオフラインの催事イベントは頻繁に行われています。既に現地とのつながりがある企業は、コロナ禍でも現地子会社のスタッフや代行業者などを通じてリアルイベントの参加を継続していました。
逆に言えば、コロナ禍においては、ゼロから海外催事に参加することに高いハードルがありましたが、人流が復活した現在は、こうしたつてがない企業にとっても、海外催事参加のハードルが下がっている状況だといえます。
また、これは越境ECにもいえることですが、日本への訪日客の増加は、まだ日本を訪れていない潜在的な海外消費者を増やすことにもつながっています。訪日客は日本の商品の良さを直接体験し、お土産や体験談として帰国後にそれらを広めるでしょう。さらに訪日客がSNSなどで日本の訪日体験を発信することで、それを見た海外消費者の日本に対する興味関心が高まります。
たとえば、Xを通じて日本のコンビニが訪日客の間で話題になったことは、まだ記憶に新しいのではないでしょうか。ここに円安の状況も重なり、結果的に日本の商品の購入意欲も増すという環境が生まれているのです。
BEENOSグループが2020年に発表した「越境EC 世界ヒットランキング」では、その年の消費傾向を「日本ロス消費」と発表しました。「日本ロス消費」は、日本好きの海外の方々が訪日できないことによって、アニメやゲームといったジャパンコンテンツやガジェット、ファッションアイテムなどをオンラインで活発に購入しました。つまり、その時点で海外に「よく知られた日本」が売れた状況であったといえます。
2024年現在も、もちろん「よく知られた日本」の商品は根強く人気を得ていますが、日本と海外の接点増加により、今後「新しく知った日本」に対する人気も増加する可能性があります。海外催事においても、日本の商品への好意度や関心が高まっている状況を受けて、コロナ禍よりも幅広い商品ジャンルにチャンスが広がっていると見られるでしょう。