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考えるコストを自身に課すメリットとは
中小企業でEC担当をする皆さんであれば、一度はツール導入の問題に直面したことがあるのではないでしょうか。これは結構悩ましい問題だと思います。「うちは予算がないから、できることが少ない」「人がいないから無理」という担当者もいらっしゃるでしょう。
ただ、日々のその業務に「実際いくらのフィーがかかっているのか」まできちんと考えて、業務を遂行している人はどれだけいるでしょうか。そもそもシステム導入を考える際に、これは「ビジネスをアップデートするための攻めのシステム」なのか、「システムの老朽化や法規制に対応するための守りのシステム」なのか、かかるコストとそれをどうやって回収するか、それらを上回るメリットが存在するか、そしてリスクなどといったことまで考えられているでしょうか。
たとえば、営業スタッフが100人いる大手企業であれば、RPAを導入して毎日1人あたり1時間の業務削減ができると1日で100時間、週5日稼働であれば1週間あたり500時間を削れます。しかし、社員数の少ない中小企業だとここまでのインパクトを出すことはできません。
僕も実際、こうした分析をしてシステム導入をする際は、基本的に2年でコスト回収ができるツール導入のプランを立てていました。極端に言うと、2年で回収の見込みが立たないものはできるだけ提案をしないようにしていました。
しかし、過去には5年間稟議が通らなかった経験があります。普通は5年間も継続的に同じ稟議を通そうとする社員なんていないので、某企業の方に話をした際に「君はばかなの?」なんていわれたりもしました(笑)。
「稟議が通らない=そこにいろいろな事情がある」のもわかってはいました。しかし、僕にとっては5年たっても会社にとって必要なものだと思ったので、毎年提案をバージョンアップし、提案書も作り直して粘り強く稟議を上げ続けていました。
ただ、これはあまりやりすぎると、経営者に「この人は『このツールを入れたい』ということだけに執着している」と思われてしまうので、気をつけないといけません。でも、僕は「考える」という行為を通して自分にコストをかけることが大切だと思っています。