金色バッチは月13.5万円 Twitterの今後の行方は?
イーロン・マスク氏がCEOに就任以降、アカウント運用にも関係する様々な変更が生じているTwitter。2023年4月1日には、従来の公式マーク/認証バッジ制度が廃止され、新たに個人向けの「Twitter Blue(青色の認証バッジ)」、企業向けの「Twitter Verified Organizations(金色の認証バッジ)」制度が設けられた。
「この変更により、Twitterでの広告出稿は認証バッジを取得しているアカウントからしかできないようになりました。ビジネスでTwitterを活用するのであれば、有償利用するのが前提とした設計になっています。もちろん、『中の人』によるつぶやきなどは今まで通り無料で行えますが、未認証アカウントはおすすめ(For You)タイムラインには表示されづらい仕様になっているため、オーガニックの企業アカウント運用にどれだけの成果を期待できるのかは、不透明な状況です」
「個人向け」と定義しながらも、現状は企業アカウントも申請ができる「Twitter Blue」は月額980円(iOSからの加入の場合は月額1,380円)。しかし、「Twitter Verified Organizations」は月額13万5,000円と桁が跳ね上がる。年間162万円+広告費をかけてTwitterアカウントを運用し、コストパフォーマンスを維持できる企業がどれだけいるのかは未知数だ。
「広告出稿を継続して行いたいEC事業者の場合、現状は『Twitter Blue』で様子を見るのが良いでしょう。しかし、状況が変わる可能性もあるので注視しなければなりません」
藤田氏は、現状のTwitterについてプラットフォームとしての不確実性を危惧する。2023年4月には、Twitter Inc.がX Corp.に吸収合併されていたことが発覚。2023年5月には、新CEO リンダ・ヤッカリーノ氏の就任が発表されており、広告強化に向けた方向転換が予想されるが、「ユーザー課金とどのように両立させていくのかが気がかり」と続けた。
「ユーザー課金は、ともすると多様性の喪失を意味するものだと思います。マネタイズとユーザーの多様性をどう維持するのか、特にこれまでTwitterマーケティングで多くの売上を生み出した企業ほど、気になるところではないでしょうか」
2008年に日本語版Twitterがリリースされて、今年で15年。国内における情報発信のインフラの一つとして機能していたTwitterも、プラットフォームとして大きな転換点を迎えていることがうかがえる。イーロン・マスク氏はTwitterを起点としたスーパーアプリ化も匂わせているが、どの方向に転ぶのか。引き続き、定点観測でもウォッチしたいところだ。