「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律」が、一部の規定を除き、2022年6月1日から施行される。
消費者庁は2月9日、「特定商取引に関する法律等の施行について(通達)」(PDF)を公表。ガイドラインや具体例など8の別添資料を公表した。カートシステムの「最終確認画面」で表示すべき項目が指定されており、現状でそれを満たしていない場合は、対応が必要になる。
「最終確認画面」の変更は、そもそも特定商取引に関する法律の法第12条の6にて、通信販売における契約の申込み段階において、販売業者または役務提供事業者に対し一定の事項の表示を義務付けるとともに、消費者を誤認させるような表示を禁止していることに由来する。これに違反する表示により、民事上は、消費者が誤認をして意思表示をした場合には、これを取り消すことができることとなっている(法第15条の4)。
カートシステムの「最終確認画面」の変更とは、注文確定の直前段階で、最終確認できるよう次の6項目を表示する必要があるというもの。ASPカートやEC構築パッケージを利用している場合は、提供ベンダーが対応すると思われるが、スクラッチで構築している場合は自社での対応が必要となる。
- 分量
- 販売価格・対価
- 支払の時期・方法
- 引渡・提供時期
- 申込みの撤回、解除に関すること
- 申し込み期間(期限のある場合)
「(別添7)通信販売の申込み段階における表示についてのガイドライン」(PDF)も参照しながら細かく見ていこう。
「1.分量」については、商品の数量、役務の提供回数等のほか、定期購入契約の場合は各回の分量も表示する必要がある。
「2.販売価格・対価」については、複数商品を購入する顧客に対しては支払総額も表示し、定期購入契約の場合は2回目以降の代金も表示する。
定期購入契約の場合は各回の請求時期に加え、顧客との解約手続きの関係上、次回分の発送時期等についても表示する必要がある(「3.支払の時期・方法」「4.引渡・提供時期」)。
「5.申込みの撤回、解除に関すること」については、返品や解約の連絡方法・連絡先、返品や解約の条件等について、顧客が見つけやすい位置に表示する。
なお「解除等に関する事項については、端的な表示が困難かつすべての事項を表示すると分量が多くなるなど、消費者に分かりにくくなるような事情がある場合に限り、リンク先に対象事項を明確に表示する方法やクリックにより表示される別ウィンドウ等に詳細を表示する方法も可」としている。
定期購入契約を行っていないEC事業者でも、注意したいのは「6.申し込み期間(期限のある場合)」だ。季節商品のほか、販売期間を決めて期間限定販売を行う場合は、その申込み期限を明示する必要がある。
該当する:商品の販売等そのものにかかる申込期間を設定する場合
購入期限のカウントダウンや期間限定販売など、一定期間を経過すると消費者が商品自体を購入できなくなるもの。
該当しない:申込みについて「期間」に該当しない何らかの販売条件または提供条件がある
個数限定販売や、価格その他の取引条件(価格のほか、数量、支払条件、特典、アフターサービス、付属的利益等)について一定期間に限定して特別の定めが設けられている場合。
その申込み期限を明示する場合の、具体的な表示方法の例は次のとおりとなっている。
- 商品名欄等において商品名にわかりやすく併記する
- バナー表示を置く
- 消費者が明確に認識できるようなリンク先や参照ページ、クリックにより表示される別ウィンドウ等に詳細を記載する
自ら手を動かしてシステムの改修を行わない場合も、商品情報の整理や管理画面での操作、キャンペーンアイディアを思いついた際に、受け皿となるカートシステム上での表示など、EC事業者にも対応が求められる。信頼できるパートナーとともに、6月の施行に向けた行動が必要だ。