キャッシュレス還元事業の進捗 小売事業者は「対応する目的」を明確に
10月の消費税率引上げに伴い、2020年6月までの9ヵ月間、中小・小規模事業者によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元を支援する「キャッシュレス・消費者還元事業」が実施される。キャッシュレス決済を利用する消費者には、決済金額の一部が還元されることが注目されているが、事業者側にもメリットはある。たとえば、決済事業者と国が補助することで、中小・小規模事業者の端末導入がゼロになるというもので、スマホ決済をはじめとするキャッシュレス化推進への貢献が期待できる。
対象となる決済事業者向けの仮登録申請受付が3月20日に締め切られ、5月24日に「登録決済事業者リスト」127社が発表。カード会社や決済代行会社などが名を連ねている。小売事業者がどう対応するべきか、改めて高野さんに整理してもらった。
「まずは、対応する目的を明確にすることが重要です。たとえば、『これまで電子決済にまったく対応できていなかったので、これを機に端末やサービスを導入したい』や『単にキャッシュレスに対応するだけでなく、特殊なサービスを導入することで顧客のロイヤルティを高めたい』など、事業者によって目的は異なるはず。目的が明確になれば、選ぶべきサービスも自ずと見えてくると思います。とくにメルペイやLINE Pay、PayPayなどの二次元コード系決済サービスは、それを提供するプラットフォーマーの影響を大きく受けるでしょう。事業や顧客との相性はもちろん、既存システムと連携しやすいかどうかも考慮してサービスを吟味するといいと思います」
つまり、実店舗がレジを見直すタイミングだとも言える。最近では、iPadをはじめとするタブレット端末に、POSレジ機能のアプリをダウンロードして利用する事業者も増えている。
「還元の対象となるのは『クレジットカード、電子マネー、二次元コードのように繰り返し利用できる電子的な決済手段』。ひとくちにタブレットPOSと言っても、すべての電子決済に対応しているとは限りません。利用したい決済サービスが利用できるかを事前に確認しましょう」