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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

季刊ECzine vol.03 特集「新しいコマースサービスが変えようとしていること」

アパレルECで前年比850%を支援 セットで提案すると服が売れる宅配クリーニング「リネット」の魅力


 2017年7月、ECサイト「FREAK'S STORE ONLINE」の対象アウター売上が前年比850%という驚異的な成長を見せた。その背景に、リネットとの共同キャンペーンがあった(※本記事は、2017年12月25日刊行の『季刊ECzine vol.03』に掲載したものです)。

 2009年に始まった、ネット完結型の宅配クリーニングサービス「リネット」。30~40代の働く女性を中心に支持され、2017年5月に会員25万人を突破した。ネットを活用した利便性はもちろんのこと、新品の風合いに近づけるトリートメント加工や無料の毛玉取りを行う「プレミアム仕上げ」など、価格競争よりも付加価値のあるサービスを提供している印象が強い。

 そんなリネットが、2016年から本格展開しているのが「アパレルケアプログラム」だ。ファッションアイテム購入時やECサイトの会員特典として、リネットのクリーニングチケットを届けるというもの。シンプルな取り組みに見えるが、コラボしたアパレルECサイト、実店舗ともに前年を上回る売上を達成するなど大きな効果をもたらしている。

 その背景には、アパレルケアプログラムを提供する前に、クリーニングが本質的にユーザーに提供しているものをとことん追究したことで見えてきた価値があるようだ。リネットを運営するホワイトプラスで、アパレルケアプログラムの中心人物である中島規之さんに話を聞いた。

会員25万人超 ネット完結型宅配クリーニング「リネット」

株式会社ホワイトプラス リネット事業部 広報・デザイングループ グループマネージャー 中島規之さん
株式会社ホワイトプラス リネット事業部 広報・デザイングループ グループマネージャー 中島規之さん

 リネットは、2009年10月にスタートしたネット完結型の宅配クリーニングサービスだ。運営会社のホワイトプラスは、その3ヵ月前に設立された。代表取締役の井下孝之さんは1982年生まれ。創業当時は、開始当初のリネットのウェブサービスをひとりで作り上げたCTOの森谷光雄さん、CMOの斎藤亮介さんのわずか3人という、典型的なスタートアップ企業である。

 2017年5月に会員25万人を突破したリネットだが、ターニングポイントとも言える2013年9月の「最短5日→最短2日後のお届け」を実現するまで、5年の歳月を必要としている。リネットは当初、クリーニング工場と消費者をITでつなぐ役割を主としていたが、20代の若者3人が、見ず知らずで飛び込んだクリーニング業界からの協力を得るのに難航したことが大きい。「クリーニングをなめるな」「IT化なんて無理だ」「将来ある若者が斜陽産業に首を突っ込まないほうがいい」といった反応が返ってきたのである。

 しかし、ホワイトプラスの創業メンバーはあきらめなかった。現場を知り、業界からの信頼を得るため、実際にクリーニング店で預かった商品を検品することを始めたのである。そうやって知識と信頼を積み重ね、クリーニング業界の中にもITの活用を中心に変革が必要だと感じている職人たちとの出会いが広がり、サービスが充実。他方、クリーニングを利用したいけれど既存サービスでは満足しきれていなかった30~40代の働く女性を中心にサービスが知られるようになり、ユーザーが拡大、ビジネスとして順調に成長していった。

 2012年には黒字化し、今ではリネットから注文を受けたクリーニングを専用に手がける、専用工場を持つ会社は4社にまで拡大している。2015年には4億円を超える資金調達に成功。ウェブスタンプカードや独自の洗剤開発、「夜間便」や「シワなしハンガー便」、「プレミアム仕上げ」、来シーズンまで季節物を預けられる「リネット保管」など、ユーザーメリットのある新サービスのリリースが途切れない。元グリー梶原大輔氏を技術アドバイザーに招聘し新たな技術的な知見を取り入れたり、物流倉庫で利用されているRFIDトラッキングシステムを用いてエスコートタグの開発を進めたりするなど、IT企業としてテクノロジーへの投資も惜しまない。さらに2017年3月からはJ-WAVE81.3FM「RADIO DONUTS」にてラジオコーナー「Lenet FUN! MY STYLE」を持ち、放送を開始するなど、一部のネットユーザーにとどまらない、幅広い層への認知活動にも励んでいる。

 このように、主サービスであるリネットとともに、8年の歴史を歩んできたホワイトプラス。2016年に始まった「アパレルケアプログラム」は、軌道に乗ったリネットの、ブランディングの意味合いが強いマーケティング施策のひとつかと思ったが、話を聞くとそれ以上の意味があったらしい。

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