資生堂は、プレステージスキンケア製品の生産と、物流を担うサプライチェーン拠点として、大阪府茨木市に大阪茨木工場と西日本物流センターを昨年12月に竣工していた。2021年9月より、工場、物流、コンシューマーセンター(ユーザーから寄せられた相談・要望などを社内に還流し、商品開発などに活かす取り組みを管轄する部門)、一般向け見学コースの4つの機能を備えた新しいコンセプトのサプライチェーン拠点として始動する。
資生堂は、2030年までにスキンビューティー領域における世界No.1の企業になることを目指し、2021年~2023年の主要戦略では、「高収益構造への転換」、「スキンビューティーへ注力」、「成長基盤の再構築」を掲げている。今回、「高収益構造への転換」として生産性の向上、「スキンビューティーへ注力」として生産体制の強化、「成長基盤の再構築」としてサステナビリティを意識した生産供給体制を整えた。
本拠点では、生産を担う工場に資生堂として初めて物流センターを併設し、生産から輸送にかかる作業効率を上げ、輸送時にかかるコストや環境負荷を軽減し、また地域に開かれた工場として一般ユーザー向けの見学コースと、ユーザーの声をものづくりに生かすためのコンシューマーセンターの分室を新たに設置した。また本拠点にある大阪茨木工場では、プレステージスキンケア製品の生産工場として、資生堂のスキンビューティー領域の生産をグローバルでリードしていく。
西日本物流センターは、大阪茨木工場の他に同社の国内工場で生産された商品を入庫、保管し、全国7か所ある出荷センターへ在庫を供給する物流の機能(物流センター)と、関西エリアを中心とした近隣のリテーラーに商品を届ける出荷機能(商品センター)を担う、資生堂が自社で運営する統合型の物流センター。
1.工場と倉庫の一体化によるサプライチェーンの構築
国内最大規模の商品保管自動倉庫を介し、隣接する大阪茨木工場で生産された商品の入庫を自動化することで、作業の効率化を図った。また工場、物流センター、商品センターの機能を集約することにより、効率的なサプライチェーンを構築し、市場への商品供給リードタイムの短縮と輸送コストの削減が可能となった。
2.世界初の出荷システム導入による徹底的な省人化を実現
資生堂独自の機能を追加した次世代型マルチシャトルに製函と封函の自動化も加えることで、商品のピッキ ングから梱包と荷札のラベリングまで同時に行う歩行レスの出荷システム GP3(Goods to Person for Pick and Pack)を採用。このシステムは、物流センターの4階と3 階の2階層に渡り稼働し、高い出荷能力を有する、効率化を最大限に追求した世界初の出荷システム。荷積み(パレタイジング)や荷下ろし(デパレタイズ)の自動化など、徹底的な省人化を実現し、効率的に製品を市場に届ける設備を備えている。