矢野経済研究所は、国内のホームファッション市場を調査し、現況、製品セグメント別の動向、将来展望を明らかにした。
市場概況
2019年の国内ホームファッション小売市場規模は、前年比98.2%の3兆3,370億円と推計。アイテム別にみると、プチギフト需要を捉えた「タオル製品」や、質の高い睡眠を得るための「ナイトウェア・ホームウェア」が好調となった一方で、そのほかの市場は前年から減少となった。
また、全体市場は前年より減少したものの、力を付けてきたベガコーポレーションなどホームファッションEC専業企業が自社のオリジナル商品で売上を伸ばすなど新しい勢力の台頭もあった。またニトリやイケアなど大手チェーン経営企業の都心部への出店が目立った。こうした店舗は集客力の高さに加え、ECサイト販売を活発にするためのショールーミング機能としての役割も担っており、今後の動向が注目される。
注目トピック
在宅勤務の広がりで、サブスクリプションサービスの需要が増加
働き方改革に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響による在宅勤務の広がりにより、ホームファッション市場においてもサブスクリプションサービスの需要が増加している。
特に、高価格帯の家具では、手軽なレンタルをきっかけに、品質やブランドを知ってもらうことができるため、各社ともビジネスチャンスと捉え、取り組みを強化している。
一方、ひとり暮らしや、結婚を機に家具を買い揃える若年層の利用も高まっている。
将来展望
2020年のホームファッション小売市場を、前年比101.4%の3兆3,845億円と予測。2020年は新型コロナウイルス感染症により店舗を持つ小売企業は営業停止などで大きなマイナスの影響を受けた一方で、ECを展開する企業を中心に巣ごもり消費を捉えて販売が好調となった企業も多い。特に「ホームファニチュア」、「寝具」、「キッチンツール」などを展開する企業は軒並み好調となった。
在宅している時間が長くなったことで家の中のレイアウトや道具を見直す機会が増加したこと、リモートワークの導入も進んだことで関連用品の購入が多くなったことなどにより、例年以上に売上を伸ばした企業も少なくない。当面の間、ウィズコロナの生活が続くのであれば、ホームファッション関連の需要増加も長期化するものと考えられる。
調査概要
- 調査期間: 2020年8⽉〜10⽉
- 調査対象:ホームファッション関連企業(メーカー・卸売業・⼩売業)
- 調査⽅法:同社専⾨研究員による直接⾯談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに郵送アンケート調査併⽤