ZOZOグループの研究開発組織「ZOZO研究所」は、大規模ファッション推薦データと研究基盤となる「Open Bandit Data & Pipeline」をオープンソースとして公開した。
現在、米中の少数の大企業によるデータと技術の占有により、外部の企業や技術者が同じ土俵で技術進歩に貢献することが難しいという懸念が強まっている。この問題に歯止めをかけ、日本企業からの積極的な技術貢献を目指すべく、ZOZOグループが保有する大規模データおよびソフトウェアパイプラインを公開する運びとなった。今後、日本発のデータ技術のオープンイノベーションを促進するきっかけとなることを目指している。
Open Bandit Dataは、ZOZOTOWN上での実際の推薦アルゴリズムから取得された2,800万件超のファッション推薦データ。Pipelineは、新しい施策・アルゴリズムを実サービス環境に導入した際の性能を信頼性高く予測し、その正確さの検証も行うことができる基盤実装となっている。
今回公開する基盤は、ZOZOTOWNのマーケティング施策にもすでに導入されており、クリック率や購買率の増加に寄与している。
なお、公開するデータは商品や顧客の特定が不可能なよう十分に匿名化しており、利用規約とプライバシーに配慮しているとのこと。
深層学習やバンディットアルゴリズム、強化学習など推薦・検索アルゴリズムの技術は、日々目覚ましい発展を続けている。ZOZOTOWNをはじめとするEコマース事業においては、近年ますますスピードが上がっている顧客やマーケットの移り変わりに対応できるよう、より効率的に効果の高いアルゴリズムや施策を探究・開発し、サービスを改善していく必要がある。
一方で、そのような高度なアルゴリズムをサービス環境に導入するには膨大な人材・実装コストが必要となるため、アルゴリズムの性能を実サービス環境で評価することが難しいという問題がある。因果関係を考慮した機械学習は、この問題を解決する手段として期待されている。ZOZOテクノロジーズの研究開発組織である「ZOZO研究所」では、米イェール大学の成田悠輔助教授とアルゴリズムの性能評価の手法に関する研究を進めている。