電通は、国内で実施したデジタル広告サービスにおける不適切業務に関する調査結果と再発防止策について発表した。
この報告によると、次の4つの不適切業務があったことが明らかになった。
態様1:事実と異なる出稿量の報告
広告主から依頼された出稿量を満たしていなかったにも関わらず、あたかも満たしていたのごとく広告主に報告したもの。
態様2:出稿実績の内訳が事実と異なる報告
出稿総量は広告主からの依頼を満たしていたが、日次の実績が広告主の指示または期待と異なっていたため、総量には影響を与えずに、出稿実績の内訳の一部を変更して報告したもの。
態様3:日次単位の出稿実績の未報告
出稿総量は広告主からの依頼を満たし、出稿実績の運用の報告も広告主から要請された週次・月次単位で行われていたが、日次単位の出稿実績の確認が行われなかったことにより、本来掲載すべきすべての日に広告が掲載されたものと誤信させたもの。
態様4:精算漏れによる概算での誤請求
運用型デジタル広告の性質上、掲載翌月にならないと請求額が確定しないものを、掲載当月に概算金額を登録し、翌月に概算部分の精算を行わず請求してしまったもの。ここでは、出稿総量・内訳ともに広告主からの依頼を満たし、運用レポートも正確に作成・報告されていた。
【表:不適切業務の類型別の金額と件数】
態様1 | 態様2 | 態様3 | 態様4 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|
合計金額 | 338万円 | 9,265万円 | 0万円 | 1,880万円 | 1億1,482万円 |
合計件数 | 40件 | 537件 | 4件 | 416件 | 997件 |
(電通の調査資料を元に作成。千円以下は切り上げて表示)
さらに、2016年9月に予備調査結果を公表した時点では、暫定結果として不適切業務の疑義があると想定される取引の対象となる広告主数が111社、作業件数は633件、その取引総額は約2.3億円と公表していたが、その後の全件調査の結果、不適切業務の対象となった広告主数は96社、作業件数は997件であったことが判明した。
このうち過大な請求をしてしまった案件(態様1)は、10社・40件・338万円と発表。なお、上記分類の詳細を確認した結果、上表にあるとおり、997社との取引において、合計1億1,482万円の不適切業務が認められた。
電通では今後、人手を介さずに出稿実績レポートを作成する仕組みを構築するなど、システム面のほか組織面でも再発防止に取り組んでいくとした。