ヤマトホールディングス(以下「ヤマトHD」)は、東南アジア-欧州間でトラックと鉄道による国際複合一貫輸送サービスを提供開始した。
東南アジア地域は、世界各国のエレクトロニクス関連製品や自動車部品などの生産拠点が集まっており、生産財は世界中の市場へ送られている。これまで、東南アジアから欧州市場への海上輸送では、最短ルートである紅海ルートが主に利用されてきたが、2023年末頃から武装組織による船舶攻撃が紅海とその周辺海域で継続している。これにより、多くの船舶は、南アフリカ共和国の喜望峰を回るルートに迂回することを余儀なくされ、世界の物流や経済に影響が及び始めているという。
仕向け地に到着するまでにかかる運航日数は、紅海ルートと比べ最大20日ほど延びており、迂回による海上運賃・保険料の高騰により、輸送コストも大幅に上がっている。また、ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエル・ガザ情勢など、地政学的リスクが顕在化しており、迅速に対応できる強靭なグローバルサプライチェーン構築の重要性がより一層高まっている。
ヤマトHDは、これまで24の国・地域で顧客のグローバルサプライチェーンの構築を支援してきた。また、グループ会社のOverland Total Logistic Services(M)Sdn.Bhd.(以下「OTL」)では、2001年から東南アジア各国~中国間のコンテナトレーラーを利用した越境トラック輸送サービスを提供している。
今回、東南アジア~欧州間における強靭なグローバルサプライチェーンを構築するため、トラックと鉄道による国際複合一貫輸送サービスの提供を開始。海上輸送や航空輸送に次ぐ、新たな輸送手段のひとつとして利用されることが期待されるという。
サービス概要
東南アジア~中国間はOTLのトラック輸送網を活用し、中国~欧州間はパートナー企業の鉄道輸送を活用することで、シームレスに最終指定納品場所まで輸送。喜望峰ルートの海上輸送よりも短期間での輸送が可能で航空輸送よりコストは低く、少ない温室効果ガス排出量で環境負荷を軽減する。
- 提供区間:シンガポール・マレーシア・タイ・ラオス・ベトナム・カンボジア~欧州(ウクライナ・ベラルーシ除く)間。指定の配送先まで輸送
- 輸送方法:物量に応じて、コンテナ貸し切りもしくは混載で輸送