富士通は、消費者の店内行動データをもとに、生成AIを活用してデジタルサイネージ上にアバターや販促コンテンツを生成する購買促進AI技術を開発した。同社は同技術を活用した自動接客による商品販売促進を目指し、リテールAI研究会の支援のもと、山口県防府市にある丸久が展開するスーパーマーケット「アルク三田尻店」の実店舗において、同技術を適用した実証実験を開始した。
同技術は、カメラ映像から消費者の行動と購買特性を分析し、対象売場での購買体験の向上につながる接客や販促コンテンツの自動作成と継続改善を実現するほか、複数の販促施策の効果計測や状況に応じた施策選択、売上向上などのKPI改善をAIにより自動化することが可能となる。
実証実験では、デジタルサイネージ上のアバターが接客するシーンにおいて、行動分析AIが分析した個々の来店者の購買行動や購買特性に基づき、適切なアバターを用いて商品推奨などの接客を実施。同時に、来店者の商品購入などの接客結果も分析し、より高い効果が見込めるアバターをAIで自動生成するなど、個々人に合わせた接客内容や商品の魅力を盛り込んだコンテンツの効果を検証し、店舗や商品の売上貢献や豊かな購買体験の提供を目指す。
同社は同技術を、先端AI技術を素早く試せるAIプラットフォーム「Fujitsu Kozuchi(code name)- Fujitsu AI Platform」を通じて、2023年度中に提供開始予定となっている。
購買促進AI技術について
同社は上記の課題を解決するため、早稲田大学マーケティング・コミュニケーション研究所長の恩藏 直人教授の研究グループが保有するマーケティングの学術的支援のもと、同社独自の行動分析AI「行動分析技術 Actlyzer(アクトライザー)(以下、Actlyzer)」の分析結果に基づき生成したアバターや販促コンテンツを通じた施策、および施策効果の映像分析によるコンテンツの自動改善を通じて、購買体験を支援する購買促進AI技術を開発した。
実証実験の概要
- 期間:2023年8月3日(木)~2023年10月15日(日)まで(以降も継続を予定)
- 場所:アルク三田尻店(住所:山口県防府市新田111-5)
- 内容:スーパーマーケット内に設置するデジタルサイネージのアバターによる商品自動推薦機能において、開発した購買促進AI技術を適用する実証実験を行う。具体的には、店内に設置するカメラ映像から、「Actlyzer」によって来店者の行動パターンや購買特性を認識および分析し、それに合わせて適切なアバターが、事前に生成AIをベースに作成した各商品を推薦する文章を読み上げるかたちで、デジタルサイネージ上で商品を自動で推薦する。アバターは生成AIで生成され、映像から認識した商品推薦の成否のデータを基に、より適切なアバターへと随時改善され、以降の接客時に活用される。実証実験の期間を通じ、アバターによる商品自動推薦の効果やアバターの改善効果、店舗や商品の売上への貢献などの有効性を検証する。
なお、同実証実験は、リテールAI研究会の支援のもと、丸久、ブルボン、True Data、SalesPlus、フクシマガリレイで、6社が立ち上げた分科会が実施するという。