ホームセンターチェーンのカインズは、2024年2月に稼働予定の敷地面積、延床面積ともに同社最大の物流拠点、「カインズ 桑名センター」が2023年6月30日に竣工したことを発表した。
同施設は、伊藤忠商事と伊藤忠都市開発が共同で開発を進めてきた物流施設。カインズは2021年1月に伊藤忠商事と伊藤忠都市開発との間で同施設の賃貸借契約を結んでいる。地上4階建、延床面積約28,000坪の施設は、積載床荷重1.5t／平方メートルに加え、有効階高5.5～6.5メートルを確保したほか、危険物倉庫を併設するなど、多種多様な商品の保管と効率的な庫内作業が可能なスペックを兼ね備えているという。
環境への配慮も徹底しており、全館にLED照明を倉庫の一部・トイレには人感センサー付き照明を導入したのに加え、断熱性の高いサンドイッチパネルを採用。さらに伊藤忠商事グループのVPP JAPANと連携して、建物屋上での自家消費型太陽光発電所の導入などを予定している。また、コンセプトの異なる休憩ラウンジを3ヵ所設置するなど、外装・内装にもこだわっているとのこと。
中部・西日本エリアへの輸送距離が大幅に短縮
同施設が位置する多度地区は、三重県桑名市が産業誘導ゾーンとして定めたエリアで、東名阪自動車道「桑名インターチェンジ」、「桑名東インターチェンジ」から近く、全国への広域配送拠点および名古屋中心地への配送拠点として利便性の高い立地となっている。今後も新名神高速道路、東海環状自動車道の整備にともない、さらなる利便性の向上を見込む。
カインズではこれまで、海外からの荷物を群馬県太田市の物流センターに集約し、全国の店舗などに荷物を輸送していたが、同施設が稼働することにより、海外からの荷物が同施設に直接納入され、中部・西日本エリアの店舗などに荷物を輸送する距離や時間が大幅に短縮される。輸送距離が短くなることで、輸送時にトラックから排出されるCO2排出量の削減につながるだけでなく、時間外労働の上限規制による影響でドライバーひとりあたりの走行距離が短くなる、いわゆる「2024年問題」への取り組みにもつながるとしている。
CO2削減、環境負荷軽減に向けた取り組み
環境配慮型の物流センターの側面を持つ同施設は、CO2の削減にも積極的に取り組む。建物屋上に設置予定の太陽光発電の電力を使用し、一般家庭の約800世帯分の年間電力量に相当する約2.7メガワットを発電することで、施設で使用する電気の年間平均の55％を再生可能エネルギーで調達することが可能となる。
また、海に流れ出る可能性のあるプラスチックごみを回収、リサイクルした素材、OBP（オーシャン・バウンド・プラスチック）を施設の一部に使用している。
働く環境を重視した物流センター
同施設は、働く環境にも配慮しており、1階と2階にはシーリングファン、2階から4階にはスポットクーラー、4階には天井カセットタイプの空調設備を設置。適切な室内温度で作業できる環境を整えている。そのほか、休憩室には観葉植物やソファーなどのインテリアを配置し、カフェのような空間設計をすることで、従業員がゆったりとくつろげるよう配慮されている。
カインズは同施設を中部・西日本エリアの店舗への配送機能と海外荷物の保管施設機能をあわせもつ、「西のマザーセンター」と位置づけ、輸送の効率化と店舗への商品供給のスピードをさらに加速していく考え。
