トランスコスモスは、自主調査「世界8都市オンラインショッピング利用調査2023」を実施した。
同調査は、2018年に開始したアジア10都市対象調査の設問を継承し、2022年からは対象都市から5都市を残したうえで、ソウル(韓国)、ニューヨーク(米国)、ロンドン(英国)を加えた世界8都市のショッピング利用者を対象としたもの。テーマとして「ライブコマース」(Live Streaming E-commerce)や「越境EC」(Cross Border E-Commerce)の利用実態のほか、今回は世界的なインフレが与えた購買行動の変化についても取り上げている。
同調査結果のポイントは、次のとおり。
インフレ率が高い国ほど商品価格の上昇を実感する消費者が多い
オンラインショッピングにおいて1年前と比べた商品価格上昇について15の商品カテゴリーごとに「非常に思う」「ある程度思う」「あまり思わない」「まったく思わない」の4段階でたずねた。ロンドン、ニューヨーク、ムンバイ、ソウルでは商品を問わず「非常に思う」との回答が多くなっている。
この傾向は各国のインフレ率統計とも一致しており、インフレ率が高かったロンドン(9.1%)、ニューヨーク(8.1%)、ムンバイ(6.9%)では多くの商品で価格上昇が実感されていた。またソウル(5.5%)では特に食品・日用品での価格上昇を感じる人が多い。一方、インフレ率が比較的落ち着いている東京(2.0%)、上海(2.2%)、ジャカルタ(4.6%)では、多くの商品カテゴリーで「非常に思う」との回答は2割以下にとどまった。
商品カテゴリーでは食品・飲料、日用品のほか、ファッションや家電などの値上がりが大きいと感じられている。携帯電話もソウルやムンバイをはじめ大幅な価格上昇を感じる人が多いという結果になっている。
国内価格の上昇によって越境EC利用も増加している
商品の値上がりにともなう、オンラインショッピング行動の変化については、いずれの都市でも割引クーポン利用やセールにあわせた購入など安く買う工夫に加え、まとめ買いや頻度の見直しなど普段の買物行動を見直す動きが見られた。
また、インフレ率の違いや為替の変動によって越境ECの利用もインフレへの対応方法のひとつとなっている。ムンバイやバンコクでは商品カテゴリーを問わず30%以上の人が「国内よりも安く購入できる海外ECサイトを利用するようになった」と回答している。
インフレ率が低い上海とジャカルタでもほかの都市同様に、購買行動を見直し計画的に行動する消費者は多い。東京はほかの都市に比べると具体的な行動に移す人が少ないという結果に。
バンコク・ジャカルタ・上海ではライブコマースが定着、東京は普及に遅れ
ライブコマースで購入した経験があると答えた人は、全都市のなかでバンコクが最も高い結果となっている。アジアの都市では購入経験、認知ともに高い傾向は変わらない。
ニューヨークとロンドンは、アジアの都市ほどではないものの、6割前後が認知。購入経験者もほぼ昨年並みで定着している様子がうかがえた。
東京と他都市との差は顕著となっており、認知度は徐々に増えているものの、利用者は2.8%と非常に低い水準にとどまった。名前を聞いたことがない人も半数以上を占めている。
調査の概要
- 調査手法:グローバルパネルを利用したオンライン調査、現地語によるアンケート
- 調査地域:東京(日本)、上海(中国)、ソウル(韓国)、ムンバイ(インド)、バンコク(タイ)、ジャカルタ(インドネシア)、ニューヨーク(米国)、ロンドン(英国)
- 調査対象者: 10歳から49歳の男女、直近半年以内のオンラインショッピング利用(購入)経験者
- 回収サンプル:320サンプル × 8都市、計2,560サンプル
- 調査実施期間:2023年2月2日~2月12日
- 調査委託機関:クロス・マーケティング