資生堂は、以前から積極的に「新しい体験価値」の提供に取り組んできた。特にグローバルブランド「SHISEIDO」のフラッグシップストア「SHISEIDO GLOBAL FLAGSHIP STORE」では、デジタルテスターやメディテーションカプセルなど、さまざまな先端テクノロジーを取り入れた、これまでにない体験をユーザーに提供している。
その「SHISEIDO GLOBAL FLAGSHIP STORE」では、インテリジェント・ビューティー・パートナーである「LEAH」が、ユーザーの美にまつわる体験をサポートする役目を担っている。その「LEAH」が発する声として今回、ReadSpeakerの「AI音声(TTS = Text to Speech)」が採用された。
品質の高さと自社開発ならではの柔軟性が決め手に
これまで、キャラクターが発する声は人間が吹き込むものだったが、今回、「SHISEIDO」は「LEAH」の声として、人間の声を収録するのではなく、AI音声の採用を決めていた。ふたつの理由は、次のとおり。
- 今後ブランド「SHISEIDO」で展開するデジタルツールにおいて、「LEAH」の活用機会を増やしていくにあたり、「LEAH」として変わらない個性を作り上げたいという思いだった。人間の場合、どうしても環境の違いや経年により、多少なりとも声の個性は変化してしまうが、AI音声の場合、そのような心配がない。
- 改良・更新の効率とリスクの軽減。活用の機会が増えた際、そのつど収録をしなければならず、改良や更新には多くのコストが発生する。さらに、その声の主に何らかの問題が発生した場合、新しいメッセージを収録できない、声の個性を失うというリスクもあった。両面の観点から、それぞれの効率性を実現している。
「AI音声(TTS)」選定の主なポイントは次のとおり。
- ReadSpeakerの音声のクオリティー、特に日本語のクオリティーが高く、感情表現などのオプションの組み合わせが可能であるのに、価格とのバランスが取れていたこと
- 多言語に対応しているうえ、各言語の音声を自社で開発・アップデートをしていること
- AI音声の黎明期からReadSpeakerは活動していて、先進的な取り組みに積極的な「SHISEIDO」の姿勢とマッチしたこと
好きなときに自由な声を作成可能に
今回、「SHISEIDO」が利用したのは、ReadSpeakerの「オリジナルボイス」というサービス。指定した声優・ナレーターなどの声で、音声合成ソフトを開発する。同プロジェクトでは、「リラックスを誘う、ゆったりとした音声」というオーダーを踏まえて、日本語・英語・中国語の音声合成ソフトを開発した。これにより、いつでも好きな時に音声メッセージの作成・編集が可能になり、音声によるサービス提供に関しての自由度が飛躍的に向上したという。また、従来の方法と比較して、マンパワー不足の回避、費用の効率化、リスクの軽減を実現した。