コロナ禍の過去2年間で顧客ロイヤリティのかたちは大きく変化している。デジタル体験管理ソフトウェアを提供するSitecoreは、日本や米国を含む13の国と地域を対象に顧客ロイヤリティに対する消費者の意識調査を実施し、「2022年 ブランド・オーセンティシティ・レポート」を発表した。今回は日米の調査結果を比較した内容を発表する。
同調査結果は、SitecoreがAdvanisに委託し、新しい消費行動や、ブランドに期待することについて調査し、考察した。
主な調査結果は次のとおり。
消費者とお気に入りブランドとの関係性は米国よりも日本の方が希薄
消費者に対して、「お気に入りのブランドとの関係性は何か」とたずねたところ、「定期購入者」(日本:33%、米国:66%)「ファン」(日本:23%、米国:43%)「インフルエンサー」(日本:6%、米国:13%)など、どの設問においても米国の方が日本よりも割合が高く、消費者とブランドとのエンゲージメントが強いことがわかる。
一方、日本では44%、米国では7%が「該当の関係性なし」と回答したことから、日本の消費者はお気に入りのブランドであっても、具体的なアクションを取らない傾向があると考えられる。
マニュアル対応だけではないブランドへの好感は米国が8割強に対して日本は5割弱
マニュアル対応のみならず、顧客の課題解決に自律的に取り組むブランドに対してより忠誠心を抱く割合は、日本が47%に対して、米国は82%と顕著な差異が明らかになった。日本では、多くのブランドで一定のサービス品質が担保されている傾向にある一方、米国では、地域間の所得格差が影響し、サービス品質に関してもばらつきがあることがうかがい知れる。そのような社会状況も関連し、米国では、マニュアル対応だけではないブランドの行動が顧客ロイヤリティを左右しやすいことが推測される。
価格よりも重要なこと 日本はブランドへの信頼性、米国は製品品質
「購入ブランド検討の際、価格よりも重要なことがあるとすれば何か」とたずねたところ、日本では、「信頼性」(48%)「良い顧客体験」(42%)「透明性/信用性」(37%)と、ブランドに対するイメージや体験を重要視する一方、米国では、「高品質」(58%/日本では33%)を最重要視し、ブランドよりも製品に焦点を当てる消費者の割合が高い結果となった。
嫌な体験をしたブランドで再購入する割合 日本が米国の半分に留まる
嫌な体験をして二度とそのブランドで買い物をしないと決めたあと、再びそのブランドを利用した経験を持つ消費者の割合は、日本では17%のみに対して米国では2倍の34%であることがわかった。再購入の理由として、日本では「利便性」(45%)、米国では「良好なサービス」(42%)を挙げた消費者の割合がもっとも高かった。このことから、日本では過去の体験を利便性が上回った際、米国では製品やサービスそのものの価値を再認識できた際に、再購入の選択肢となり得ることが考えられる。
日本は米国と比較してブランドが提供するタッチポイント(顧客接点)の利用頻度が低い
消費者に対して、「2022年に行ったショッピング体験は何か」とたずねたところ、「モバイル端末でのオンラインショッピング」(日本:22%、米国:40%)、他社サービスを利用したオンライン決済(日本:16%、米国:29%)、小売業者のモバイルアプリケーションのダウンロード(日本:12%、米国:25%)、ブランドのソーシャルメディアのフォロー(日本: 14%、米国:18%)など、日本は米国と比較し、体験したことのある割合が低い項目が多く、ブランドが提供するタッチポイント(顧客接点)の利用頻度が低いことが明らかになった。
調査概要
- 調査方法:インターネット(ウェブ)アンケート方式
- サンプル数:日本の消費者…1,004サンプル/米国の消費者…1,174サンプル
- 調査実施期間:日本…2022年4月26日(火)~2022年5月3日(火)/米国…2022年4月11日(月)~2022年4月18日(月)
- 調査実施機関: ADVANIS