コロナ禍で生き残るためにイートイン以外のキャッシュポイントを作る
コロナが流行してからというもの、世の中の生活仕様はアップデートされました。オンライン会議やリモート飲み会などが徐々に浸透し、フードデリバリーの便利さも知れ渡ったのです。一度アップデートされた価値観は、そう簡単に元に戻りません。
新しい生活仕様の中で今後も店舗を維持していくには、ランチ営業やディナー営業などのイートイン以外で、キャッシュポイントを作る必要があります。そのキャッシュポイントの一つが「フードデリバリーサービス」なのです。
フードデリバリーサービスなら、客は自宅にいながらお店の味を楽しめるため、店舗まで足を運ぶ手間が省けて、さらに感染症対策にもなります。飲食店は今、長く営業をしていくために、時代のニーズに合わせた柔軟な経営が求められているのです。
急成長するフードデリバリーサービス産業
コロナで外出自粛が叫ばれる後押しもあり、ここ数年でフードデリバリーサービスを利用する人が急速に増えました。大手デリバリーサービスサイト「出前館」では、2021年4月から3カ月間の流通額は403億円で、2021年7月から3カ月間の流通額は428億円となっています(参考:出前館「2021年8月期 第3四半期 決算説明会資料」)。
また、加盟店舗数やアクティブユーザー数も年々増加傾向にあることから、フードデリバリーサービスの需要が拡大しており、今後も必要とされる可能性が高いことがわかります。
フードデリバリーサービスを導入するメリット
飲食店がフードデリバリーサービスを導入するメリットは大きく分けて3つあります。
新規顧客が獲得できる
フードデリバリーサービスを利用すれば、「子連れだから周りに気を使ってなかなか外食できない」「いつも満席で入れなかった」など、さまざまな理由で今までのがしていた客をキャッチできます。
フードデリバリーサービスで獲得した新規顧客に料理の味を気に入ってもらえれば、常連になってくれる可能性も高まるため売上アップになるでしょう。
配達員を雇う必要がない
フードデリバリーサービスを導入したくても、人手が足りなくて厳しいという場合は、出前館やUber Eats(ウーバーイーツ)といったフードデリバリーサイトを活用すれば、新たに配達員を雇う必要もありません。
配達代行を行っているフードデリバリーサイトに登録すれば、店舗側は今まで通り料理を作り、あとは専門の配達員が料理を客に届けてくれます。
狭い店や人気店は今よりさらに売上アップできる
狭い店や人気ですぐに席が埋まってしまっていた店でも、フードデリバリーサービスを活用すれば店舗の規模以上に売上をあげられます。もちろんキッチンに余力があることが前提ですが、店舗数や従業員を増やさずに売上をアップできるのは、フードデリバリーサービスの大きなメリットといえるでしょう。
フードデリバリーサービスを成功に導くコツ
フードデリバリーサービスを成功させるには、5つのコツがあります。
SNSでの発信
FacebookやInstagram、TwitterなどのSNSで店舗のアカウントを作り、フードデリバリーサービスを開始したことやメニューを発信しましょう。SNSは年齢や性別関係なく、幅広い人にアプローチできるため、新規顧客開拓にも役立ちます。
できるだけ毎日更新し、ハッシュタグを工夫するなどして流入促進を目指しましょう。あまり長い期間更新が途絶えると、「このお店、今はやってないのかな?」と思われてしまう可能性があるため注意が必要です。
Googleマイビジネス(MEO)を活用
Googleマイビジネスとは、Googleや検索マップなどさまざまなGoogleサービス上に、ビジネスプロフィールの情報を表示、管理できるツールです。
Googleマイビジネスは、検索窓に店舗名を入れると1番上に出てくるため、フードデリバリーサービスができる店舗であることを記載しておくと、多くの人の目に留まりやすくなります。情報設定の欄に宅配、デリバリー、テイクアウトのカテゴリーを追加しましょう。
メニューを配達用にアレンジ・研究
デリバリー用にメニューを変更することも重要です。料理は時間が経てば経つほど味が落ちるため、時間が経っても味が落ちにくい工夫をしたり、冷めてもおいしい味つけに改良したりするといいでしょう。また、冷めにくい餡掛けなどの料理のみをデリバリー可にするという手もあります。
客単価を3,000円以上に設定する
自分で料理を配達するにしてもフードデリバリーサイトを活用するにしても、配達コストがかかります。配達コストを回収するために、1回の配達で料金が3,000円以上となるようにしましょう。
とはいえ、1品で3,000円はなかなか難しいと思いますので、数人分の料理をまとめて注文してもらう仕様にしたり、1回の配達で複数の注文分を配達できるようにしたりするのがおすすめです。
催事場やオフィスへの営業をしておくと、1回の配達コストが節約でき、単価も高くなるので有効です。
リピーターを増やす工夫をする
商売の基本はリピーターを増やすことです。客に「おいしい!」と思ってもらうのはもちろんですが、次回注文までの動線が整っていないとなかなかリピーターにはなってくれません。
客が「あそこのお店の料理を食べたいな」と思ったタイミングでデリバリーサービスサイトへ誘導できるようにするのが大切です。例えば、デリバリー専用のポイントカードを作る、初回の配達時にQRコードのついた冷蔵庫に貼れるマグネット式広告物を配るなどが有効でしょう。
フードデリバリーサービスを始めるには
フードデリバリーサービスを始めるには、自分でチラシを配るか、フードデリバリーサイトを活用する必要があります。個人向けのフードデリバリーサイトを次にまとめました。
- 出前館
- Uber Eats
- Menu
- ⅾデリバリー
- Wolt(ウォルト)
- DiDi Food
- 楽天ぐるなびデリバリー
- 食べログテイクアウト など
フードデリバリーサイトを利用する場合は、サイトに飲食店情報を登録し、客からの注文を受けるためのタブレットを用意します。あとはデリバリー料理の登録や価格設定などを行えば、すぐにでもデリバリーサービスを開始できます。
フードデリバリーサイトを選ぶときのポイント
出店するフードデリバリーサイトを選ぶときは、次のポイントに気をつけましょう。
- 登録者数
- 最低注文料金
- 自社配達か配達代行か
ユーザー登録者数が多ければ多いほど、自社の料理が売れる可能性が高まるため、できるだけ登録者が多いフードデリバリーサイトへ登録することをおすすめします。また、フードデリバリーサイトによっては最低注文料金が設定されており、一定の金額に達しない注文には手数料や配送料が上乗せされることもあるため注意が必要です。
フードデリバリーサービスには、自社配達(店舗自ら配送)のほかに、配達代行(サイト側が配達)を行っているところも多くあります。人手が足りない場合やデリバリーサービスを始めて間もない場合は、配達代行を活用するほうが負担は少ないでしょう。配達代行を行っているフードデリバリーサイトには、出前館やUber Eats、Woltなどがあります。
フードデリバリーサービスで逆境を逆手にとろう!
ここ数年、飲食店は思うように営業できずつらい日々が続きました。しかし、そのような中でもフードデリバリーサービスや通販など、新しいことを始めて成功している飲食店は多々あります。「運が悪かった」といってしまえばそれまでですが、こんな状況でもできることはまだあるはずです。その一つがフードデリバリーサービスと言えるでしょう。
ピンチをチャンスだと思い、これを機にフードデリバリーを始めていない飲食店は、今はじめるべきなのかもしれません。