フューチャーショップは、運営するSaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」シリーズの2021年7月〜9月の流通額を発表。昨対比111.37%の426億円となった。
生活者を取り巻く環境として、7月上旬に緊急事態宣言発令、8月下旬には21都道府県に拡大。この状況が影響してか、EC利用が増加傾向にあった。業種別では毎回の調査同様に巣ごもり期間を充実させるアイテムがよく購入された一方、期間の長引きが影響したのか「ダイエット・健康」が上位に。また、昨年は厳しい状況だった「旅行用品・旅行予約」など、解除後への期待がうかがえる業種が流通額昨対比の上位に入った。
新規利用は外出を控える動きからか、宣言期間が長引くにつれ増加。9月は前年比135%という結果になった。ECでの購入単価は年々増加傾向にあり、EC利用は習慣として根付いたとフューチャーショップでは考察している。 その他、決済方法では4人に3人がキャッシュレス決済(「クレジットカード」、「ID・QR決済」)を利用。現金以外での決済利用が進んだ結果となった。
業種別流通総額
1年以上「futureshop」を継続利用した(契約日が2020年7月1日より前)店舗に限定して流通額を調査し、上位5業種の昨対比をまとめた。
前回の調査でも好調だった「ギフト」は、今回も強い伸びを見せた。「本・CD・DVD」「楽器・音楽機材」など、巣ごもり生活が充実するアイテムの販売が増加した一方、昨年は厳しい状況にあった「旅行用品・旅行予約」も好調だった。 また、巣ごもり期間が長引き、健康に対する関心が高まった影響か、「ダイエット・健康」も売上を伸ばした。
流通額昨対比TOP5
業種 | 流通額昨対比(7月〜9月平均) |
---|---|
ギフト | 166.68% |
ダイエット・健康 | 163.95% |
本・CD・DVD | 151.88% |
楽器・音楽機材 | 143.74% |
旅行用品・旅行予約 | 134.33% |
期間中の生活者のEC利用状況
「注文件数の変化」「購入単価の変化」「新規顧客利用状況」「決済手段の変化」について、2020年・2021年7月〜9月、各月の注文件数が100件以上の店舗の中から500店舗を無作為に抽出して調査を行った。
注文件数の変化
スマートフォンのみで販売している店舗が母集団にあったため、497店舗を対象とした。対象店舗の注文件数は、すべてのデバイスにおいて増加した。2021年7月〜9月期ではデバイス全体の注文件数が昨対比115.85%となった。
各月注文件数の昨対比推移
2021年7月 | 2021年8月 | 2021年9月 | |
---|---|---|---|
デバイス全体 | 111.98% | 109.10% | 126.47% |
スマートフォン経由 | 117.61% | 113.42% | 132.61% |
PC経由 | 103.71% | 104.55% | 120.89% |
スマートフォン経由の購入が高い伸びを見せ、月別では2021年9月の伸びが顕著だった。緊急事態宣言が発表されたのは7月12日を皮切りに8月12日、8月20日、そして8月27日と対象となる都道府県を拡大している。その後、9月30日に解除されるまで、9月は外出を控えECでの購入が増加したと推測している。
購入単価の変化
PC、スマートフォンとも増加、また、継続してPCは2割ほど購入単価が高い結果となった。ECでの購入単価は昨年同月と比べ上がっており、この結果は2020年10月〜12月期の調査から継続している。
購入単価の変化
2021年7月 | 2021年8月 | 2021年9月 | |
---|---|---|---|
SP経由購入単価 | 13,240円 | 13,118円 | 13,563円 |
昨年同月比(SP) | 110.20% | 108.98% | 108.07% |
PC経由購入単価 | 15,916円 | 16,195円 | 6,413円 |
昨年同月比(PC) | 109.97% | 114.30% | 107.30% |
新規顧客利用状況
会員機能を利用していた494店舗の新規会員増加率は平均120%推移となったが、緊急事態宣言対象地域が増加するにつれ新規顧客利用が増加する傾向が見られた。
新規顧客利用増加率(昨年同月比)
2021年7月 | 2021年8月 | 2021年9月 |
---|---|---|
112.17% | 119.99% | 135.57% |
決済手段の変化
利用された決済方法を「クレジットカード」「ID・QR決済(Amazon Pay、楽天ペイ(オンライン決済)、Apple Pay、PayPay、d払いやキャリア決済など)」「現金・その他決済(店頭払いや後払い、銀行振込やコンビニ払いなど)」の3つに分け、各月の総注文件数を1としたグラフが、次である。
「ID・QR決済」の利用が増加し、「クレジットカード」は同程度の利用、「現金・その他」は減少という結果となった。
各月決済手段の割合/件数(調査対象店舗全体)
決済方法を3種類とも提供している店舗(n=344)に限定すると、2021年では「クレジットカード」と「ID・QR決済」を合わせ、4人に3人がキャッシュレスでの決済を行っていた。また、昨年同月と比較すると、「クレジットカード」の利用状況は変化せず、「現金・その他」の利用がわずかだが、「ID・QR決済」に流れている様子が見られる。
各月決済手段の割合/件数(3種類の決済手段提供店舗のみ)
各決済方法の成長率を見ると、「ID・QR決済」が他の決済方法と比較し、利用が増加している傾向がわかった。また、9月は新規利用増加の影響、特に現金志向の年代の利用増の影響か、「現金・その他」の利用が増加している。
各月決済手段の昨年同月比(件数)
2021年7月 | 2021年8月 | 2021年9月 | |
---|---|---|---|
クレジットカード | 114.03% | 114.44% | 133.83% |
ID・QR決済 | 127.98% | 123.85% | 136.87% |
現金・その他 | 99.68% | 103.89% | 124.59% |