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2024年6月6日(木)10:00~17:40(予定)

ECホットトピックス

本格導入は半年~1年後でいいかも EC事業者目線で考えるGoogle アナリティクス 4


 2020年10月に発表されたGoogle アナリティクス 4(以下GA4)。目新しいだけあって気になりますよね。今までのGoogle アナリティクスが使えるのかどうか、GA4の概要、導入しないといけないのか、などなど。この記事ではそんなGA4についてEC事業者がどうするべきかについて説明をします(2020年11月3日時点の内容です)。

前提として年商が数億円までのEC事業者向けの内容です

 何百万円がポーンと出せるような企業や、自社内にエンジニアがたくさんいてどうにでもなる企業は対象としておりません。いわゆる店長がいて数人~20人程度の規模を対象にした内容です。大企業は大企業で切り替えの費用対効果を説明しないといけなくて大変かもしれませんが、そこには触れません。

ASPカートを使っている人は本格導入ができない

 GA4とは何かの説明の前に結論から書いていきます。

 BASE、フューチャーショップ、ShopifyなどのいわゆるASPのカートではやることがありません。答えは簡単で、カート側がGA4に対応していないからです。これからのカートではGoogle アナリティクス設定などの画面でUA-で始まるIDを入力するものが多く、執筆時点ではその設定画面がまだ作られていません。

 ASPカートでGoogle アナリティクスを使うとeコマースや拡張eコマースの設定を自動でやってくれるので便利ではありますが、システム面から考えればカートの部分に影響することになりますよね。カートは購入の肝の部分ですし、ここで不具合が起きると注文が処理できずに大問題になるため、ベンダー側も簡単には変更することができないです。またGoogle タグマネージャー経由で設置したり、テーマやテンプレートに直書きをして設置するにしても、商品ページなどだけでカート部分には設定ができないことが多いです。

 GA4をゴリゴリ使いたくても使えない状況ですので、ベンダーからの発表を待っておくのがよいでしょう。

EC-CUBEなど自力で設置できる場合もリスクが高い

 カート部分がいじれるとしてもリスクが高いです。というのもGA4の仕様がまだまだ固まっていないからです。工数をかけて設置したあとでそれをイチからやり直すことになる可能性もありますし、マメに変更しないといけない可能性もあります。

 どうしてもGA4でないとできないことがない限りは様子見で良いでしょう。しばらくすると有償でもプラグインが出てくるかもしれませんからね。

レポート、昨対比が現実的な問題

 ここが一番の問題だと思われます。GA4ではセッションではなくてイベントベースになっているため、計測の考え方自体が変わってます。単純に比較できるものはないので今まで作成したレポート(報告書)は使えなくなります。すると、導入後は昨年対比もできなくなります。さらにGA4ではレポートの画面が大きく変わっていますので、今まで取っていたデータがどこにあるのかがわからなくなりますし、ツールを使っていたとしてもそれが使えなくなってしまいます。

 社内の報告用にGoogle アナリティクスを使っている企業も多いでしょうし、広告の効果測定にGoogle アナリティクスを使っている企業も多いでしょうが、今までの継続でGA4は使えないと思ったほうが良いです。

 レポート画面が大きく変わったと書きましたが、GA4ではあらかじめ用意されているレポートがかなり少なくなっています。分析ハブという機能から自作するか、BigQueryという聞きなれないツールと連携して、データポータルというちょっとだけ聞いたことがあるツールで加工すると、詳細まで見ることができるようになっています。つまり、自力で生データに近いものからレポートを作らないといけないということです。EC事業者の方は作成している時間もないと思いますので、簡単にレポートが作成できるツールを誰かが作ってくれるのを待つしかありません。

 ここだけ見てもまだまだ時期尚早だということがわかります。

とりあえず現段階での対応として

  • 既存のGoogle アナリティクスとGA4を併用する
  • できる範囲でGA4のタグを設置し取れる限りのデータを取っておく
  • コンバージョン、イベントなど今後も使えそうなデータも取っておく
  • GA4の変更など最新情報を押さえておいて導入のタイミングを決める
  • 本格導入は早くても半年~1年後

という対応が良いかと思います。

 完全なデータではなくても過去のデータがあれば、ある程度は比較することができます。既存のGoogle アナリティクスはしばらく使うことができて、終了時は事前にアナウンスがあると思いますが、いつ使えなくなってもいいように準備をしておきましょう。

 最新情報を押さえておくのも大切で、急にたくさんのことを覚えるよりはちょっとずつ変化に対応していったほうが楽です。最初は長い時間画面に向かうことで慣れてきますので、産みの苦しみだと思って我慢して使ってみてください。私も重い腰を上げて半日ぐらい操作していたらわかってきましたので。

GA4の最新情報はこちらのサイトを見ておくと良いです。

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この記事の著者

森野 誠之(モリノ セイジ)

運営堂代表。Web制作の営業など数社を経て2006年に独立後、名古屋を中心に地方のWeb運用を支援する業務に取り組む。現在はGoogleアナリティクスなどのアクセス解析を活用したサイト・広告改善支援を中心にWeb制作会社と提携し、分析から制作まで一貫してのサービスも開始。豊富な社会・業務経験と、独立系コンサ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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