前回の記事では、粗利単価の低い注文を減らし粗利単価の高い注文を増やせば、お店全体の粗利単価が増加するという説明をしました。
では、どうすれば粗利単価の高い注文を増やすことができるのでしょうか。
キーとなる要素は「お店」と「商品」の2つですが、今回は「お店」に焦点を当てていきたいと思います。テーマは、「粗利単価はお店の格で決まる」です。
アンカリング効果とブランドイメージ
突然ですが、「アンカリング効果」という言葉をご存じでしょうか。
アンカリング効果とは、質問をする時に何らかの数値を示した上で質問すると、解答を導く際にその数値が影響を与えるというものです。
少しわかりにくいのでWikipediaの説明を引用します。
「国連加盟国のうちアフリカの国の割合は65%よりも大きいか小さいか」という質問をする場合と、「国連加盟国のうちアフリカの国の割合は10%よりも大きいか小さいか」という質問をする場合では、前者の方が大きい数値の解答が得られるというものです。
つまり、アンカリング効果とは、「質問の際に数値を示されると、人はその数値を基準に考えてしまう」ことを指します。
なぜこのような話をしたのかと言うと、アンカリング効果はECショップが粗利単価の高い注文を増やすうえで、必ず知っておくべき理論だと考えているからです。
例えば、トップページに掲載されている商品の多くが、1,000円から2,000円ほどだったとすると、それを見たお客様は
「ここは、1,000円から2,000円くらいの商品を売っているお店だ」
という印象を受けるでしょう。
仮に上記のECショップで売りたい商品が、5,000円から6,000円ほどの価格帯だったとしても、最初に1,000円から2,000円という基準をお客様がインプットしていると、5,000円の商品を見た時に
「ここは5,000円の商品を買うべきお店ではない」
と感じる可能性があります。
もうひとつ例を示します。例えば、クーポンを毎日送ったり、セールを頻繁に開催しているECショップがあるとします。
そういうECショップを見かけたとき、定価で買い物をしようと思いますか?
「クーポンを使わないと損だ」「セールがあるからそのときに買おう」という気持ちになる方が多いのではないでしょうか。
これがECショップにおけるアンカリング効果です。つまり、粗利単価の高い注文を増やしたければ、「安い買い物をするためのお店ではない」という印象をお客様に与える必要があります。