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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

中小ECショップのための 粗利からみる売上アップ講座

「欲しい粗利は自分で決める」 粗利を増加させるためにいちばん大切なこと


 自社ECで3度も経験した倒産危機をきっかけに、ECが儲かるためのEC分析ツール「FULL KAITEN(フルカイテン)」を考案した著者が、粗利からみる売上アップ法を全6回にわたってご紹介していきます。最終回となる第6回は「欲しい粗利は自分で決める」です。

 早いもので、全6回の連載も今回が最終回となります。

 この連載では、中小規模のECサイト(月商で言うと数千万円〜数億円クラス)が粗利増加に成功するために、ECにおける正しい粗利計算の方法や粗利を増加させるコツ、その成功例と失敗例などについて紹介してきました。

 今回は、粗利を増加させるために最も重要なことをお伝えして、最終回を締めくくりたいと思います。

粗利とは「いくら欲しいかを自分で決めるもの」

 ECサイトの毎月の結果を集計して「粗利はいくらだった、粗利率は何%だった」という話をしていませんか?

 実は、このような捉え方をしていると、なかなか粗利を増加させることはできません。なぜかと言うと、

粗利はいくら欲しいかを自分で決めるものだから

です。そしてこれこそ、この連載で最も私が伝えたかったことです。

 粗利増加のスタートは、まず粗利がいくら欲しいかを自分で決めること。つまり粗利というのは結果ではなく意志なのです。まずは粗利をいくらに増やしたいかを決めていきましょう。

成功確率が高まる粗利増加計画の作り方

 粗利がいくら欲しいかを自分で決めたとして、それを現実にするためのアプローチについて説明したいと思います。

 まずは下記の図をご覧ください。

2018年4月に発表されたAimstar Ver.8の新機能

 これは、第4回「粗利が増加した成功例から探る“欲しい”粗利単価帯の受注を増やす方法」で紹介した図で、どのような粗利単価帯に何件ずつ注文が分布しているかを棒グラフにしたものです。

 この図の上部、「今月」の項目を見ると、粗利が約276万円になっていますよね。その下の「粗利単価別の注文数」という棒グラフには、粗利単価帯ごとに積み上げた粗利と受注件数が記録されています。

 下記の表にそのグラフの一部を抜き出してみます。※平均粗利単価は下記の表の「稼いだ粗利」を「受注件数」で割った数値です。

粗利単価帯 粗利 受注件数 平均粗利単価
0円未満 -25,000円 38件 -657.8円
0~1,000円 127,000円 193件 658.0円
1,000円~2,000円 513,000円 357件 1,436.9円
2,000円~3,000円 691,000円 277件 2,494.5円
以降続く      

 上記の表の「粗利」を、「以降続く」を含めたすべての単価帯で合計すると、約276万円という粗利と一致します。そして各粗利単価帯の「粗利」は、受注件数×平均粗利単価で算出される数値です。

 「平均粗利単価」を固定の数値だと考えると、各粗利単価帯の受注件数を増減させることで「粗利」が変動し、その粗利の合計も変動することがわかりますよね。

 この性質を利用して、欲しい粗利額の達成を狙っていきます。たとえば、粗利を276万円から300万円に増加させることを決めたとします。

 下記の表は、粗利300万円を実現するための計画案です。平均粗利単価は固定という前提なので、この表では粗利単価帯ごとにどれくらいの受注件数を狙うか、という観点で計画を立てています。

粗利単価帯 平均粗利単価(固定)① 受注件数(計画) 粗利(①×②) 増減計画
0円未満 -657.8 20件 -13,156円 18件減
0~1,000円 658.0円 140件 92,120円 53件減
1,000円~2,000円 1,436.9円 357件 512,973円 維持
2,000円~3,000円 2,494.5円 332件 828,174円 55件増
3,000円~4,000円 3,441.3円 255件 877,532円 42件増
4,000円~5,000円 4,351.3円 81件 352,455円 7件増
5,000円~6,000円 5,441.1円 34件 184,997円 維持
6,000円~7,000円 6,437.5円 16件 103,000円 維持
7,000円~8,000円 7,375.0円 8件 59,000円 維持
8,000円~9,000円 8,333.3円 3件 25,000円 維持
9,000円~10,000円 9,000.0円 2件 18,000円 維持
10,000円~ 11,000.0円 1件 11,000円 維持
    粗利合計 3,051,096円  

 粗利単価帯が0円未満と0〜1,000円については受注件数を減少させ、受注件数が最も多かった1,000円〜2,000円については、増減ではなく現状維持という計画にしています。

 また2,000円〜5,000円のレンジは粗利単価帯ごとに受注件数を増加させる計画を立て、5,000円以上のレンジについては現状維持としました。その結果、粗利を合計していくと、目標である約300万円になります。

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この記事の著者

ハモンズ株式会社 代表取締役 瀬川直寛(セガワナオヒロ)

自社ECで3度も経験した倒産危機をきっかけにECが儲かるための改善手法を考案。 自社ECの粗利を2倍、在庫を1/2に削減した手法をクラウドサービス化し、2017年10月からサービス提供開始。 現在、サイト改善や広告に頼らずに儲かるECになるための手法を熱心に啓蒙している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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