基本に立ちかえりたいとき、手元にあると重宝する1冊
あびるやすみつさんの肩書は、アフィリエイト・独自ドメイン多品種通販専門家。2003年にアフィリエイト収入で法人化したノウハウを活かし、現在はAbiStudio.com株式会社を立ち上げ、通販関連ビジネスに従事していらっしゃいます。
本書では、あびるさんが各分野の専門家に取材した内容がテーマごとにまとめられています。その専門家とは、ネット広告コンサルタント 加藤公一レオ氏、SEOコンテンツマーケティング専門家 松尾茂起氏、運用型広告専門家 阿部圭司氏、会計事務所のWeb集客とWeb採用の専門家 榎本元氏の4名。名前を知っている方も多いかと思います。
『LP ランディングページの教科書』を読んで
この本を一言でいうならば、まさにタイトルの通り「ランディングページの教科書」
本書には、ランディングページ(以下、LP)の運用に携わる人なら押さえておきたい基礎知識が網羅されているように思います。業務でなにか困ったことがあったとき、基本に立ち返りたいとき、手元にあると重宝する1冊ではないでしょうか。
目次
第1章 ランディングページの材料を集めるコツ
第2章 売れるランディングページをデザインするコツ
第3章 売れるライティングのコツ
第4章 ランディングページとビジネス改善のコツ
第5章 インターネット広告を活用するコツ
第6章 リスティング広告を活用するコツ
第7章 ディスプレイ広告を活用するコツ
第8章 アフィリエイト広告を活用するコツ
本書のおすすめポイントは全部で3つです。
1点目は、何をするべきかが具体的である点です。例えば「第3章 売れるライティングのコツ」では、どのような文章がLPや広告では効果的なのかについて述べられていますが、その小見出しがとても具体的です。
「やさしく読めるように漢字を開く」
「途中から読んでもわかるように『この』『その』『あの』を減らす」
このように書いてあると、実際にライティングをする際にチェックするためのリストとしても活用できそうです。
2点目は、手順が細かくまとめられている点。ひとつめと重なる部分もありますが、何をしたらいいかだけでなく、「どういう順番で進めていけばいいか」についても明確に記載されています。
「第2章 売れるランディングページを作るコツ」では、LPの大枠を考える際に必要な要素が書かれています。「材料をそろえる」「セールストークの見出しに沿って目次を作る」「ラフを作る」というように、その順序についても細かく明記されています。
これは料理本のイメージに近いのではないでしょうか。
材料の分量、下準備のやり方、具材を切る順番はもちろん、お湯を沸かしている間にこれを炒めて、火加減はこれくらいで、こういう状態になったら火を弱めてといった、知っておくとちょっと作業が楽になるようなコツについても、本書には書かれているように思います。
料理本を見ていると、分量が「適当」と書いてあることもありますが、その「適当」が初心者には難しい場合もあります。ですが、本書では初めてランディングページに携わる人にも、その「適当」がどんな塩梅なのかわかるように記載されていると感じました。
最後にお伝えしたいのは、徹底的に「売るため」にこだわっている点です。
本書ではLPの定義について、「検索結果やWeb広告をクリックした際に表示される、特定の商品・サービスを売るための縦に長い1枚のWebページ」であり、「できる営業マンのセールストークをWebサイトに落とし込んだもの」と書かれています。
この「売るため」というキーワードが、本書では隅々まで浸透している印象を受けます。
「売るため」にはどういう風にLPを設計すればいいのか、どういう言葉を使えばいいのか、どういう広告手法が適しているのか。商品やサービスを「売るため」の手段のひとつがLPであり、かっこいいLPを作ることやPV数をやみくもに増やすことが目的になってはいけない。そんな思いが本書の根底にはあるのではないかと思いました。
これから年末年始はお休みという方も多いと思います。本書を読み、LPについて知識を深める休暇をお過ごしになるのはいかがでしょうか。年明けの仕事初めに、本書で得た学びが早速役に立つかもしれません。